第8話

 ペちん!と擦り寄ってくるミオリネさんの顔の前で猫騙し。ひるんだ所で高速で移動してヘッドロックを決める。


「痛い痛い痛い!ギブギブギブ!」


「俺の話はいいんで、本題入りましょうね」


 ベチベチベチベチと全力の速さで叩いくので、拘束を解除する。


「いたたたた……馬鹿力になったねぇ……」


「あなたのおかげですよ。これも」


 ミオリネさんが、俺を心配してくれて鬼、悪魔、天使の師匠を三人も付けてくれたから、今の俺があります。


「コホン。さて、アークの耳に入れときたい情報というのは────聖者教団の残党が、また動き始めた」


「────あ゛?」


 その言葉を聞いた瞬間、ドス黒い感情が言葉となって現れる。


 聖者教団。俺が瘴気を吸い取り、治療してしまったことで産まれてしまった、俺を新しい神として崇めるイカれた狂信集団のことである。


 七年前に、突如として現れた教団の奴らは、俺を誘拐するために両親を殺した。そして、第二第三の俺を産みだそうと様々な人体実験をしていたのだ。


 俺が狙われた理由としては、教祖として俺を祀り上げること、そして人体実験の際に使用する、俺の血の確保だ。


 俺の血を他人に移植すれば、俺の異能が他人ににも宿る。そう考えたらしい。ま、一滴たりとも奴らには渡さなかったが。


 ………OK。少し落ち着け俺。教団筆頭────狂信者達からは『女神』と呼ばれていたリーダー格の人は、五年前に俺自らの手でコテンパンにして、トラウマと恐怖を植え付けることで強制的に更生させて、今現在では監視付きではあるが機関で元気に働いている。


「元聖者教団序列一位、女神の元に機関の襲撃作戦から逃れた者達が昨日、彼女と接触したらしい」


「……それで?」


「戻ってこいだそうだ。ま、彼女はその後物凄い笑顔で接触してきたヤツら全員ボコボコにした後、引きずりながら出勤したらしい」


 流石の強さ。元Aランクなだけはあるな。そして、彼女もキチンと更生出来ているようで何よりである。


「アーク。君には何も問題ないと思うが、一応気をつけておけ。彼女に接触してきたのなら、近いうちに君の元にも現れる」


「────発砲許可は?」


「既に出ている。出くわしたら、遠慮せずに殺れ」


「分かった」









「リオーネ」


「……アーク様」


 ミオリネとの要件も終わり、三十分ほどの雑談を終えてリオーネの元へと戻ってきた俺。入口前のベンチに座っているとメッセージを貰っていたため、スムーズに合流できた。


「大丈夫そうか?」


「はい。すみませんアーク様、先程はお見苦しい姿を見せました」


「気にしないでいい。俺はそういう一面も見れて嬉しいよ」


「……も、もう。お戯れを……」


 頬を朱にそめ、目を伏せて少しだけ顔を横に逸らす。心の中の俺が心臓を抑えて倒れ込んだ。


 俺は、リオーネの手を掴んだ。


「それじゃ、要件も終わったから────デート、しよっか」


「……はい」


 椅子に座っている彼女の手を引っ張りあげる。さて、まず最初はどこにしようかな?


「リオーネはどこか行きたいところとかある?」


「……その、私は昔からあまり外を出歩かなかったので、どこに何があるのか詳しくなくて……」


 なるほど、とすれば……いきなりだけど、俺が今日リオーネを誘おうと思っていた目的を果たすとするかな。


「それじゃあリオーネ、銃見に行こう」


「……銃、ですか?」


 デート場所として、硝煙の匂い漂う(実際は漂ってない)お店というのは減点物ではあるが、彼女には絶対必要だと思う。


「リオーネの武器は、洗練された魔法に超多量の並行魔法マルチキャスト、膨大な魔力だが────自分の弱点、分かっているか?」


「……はい。この前の戦場で現れたあの魔物を貫けるような攻撃力の無さ。それに、圧倒的スピードの前では、私の魔法は全て避けられてしまいます」


 彼女の魔法は、強く、効率的で、美しい。だが、どれだけ魔法が強かろうが、効かない相手や、そもそも当たらない奴なんてゴロゴロいる。


 それを補うためにも、リオーネの生存能力を上げるためにも、彼女専用の銃が欲しい。


「これを機に、君のための銃を見繕おうと思う」


「……アーク様と一緒の銃はダメなのですか?」


「流石にダメかな。リオーネが撃ったら、反動だけで綺麗な腕が折れちゃう」


 前も説明したような気がするが、俺の愛銃『ミストルティンMK-V』は、改造に改造に改造を重ねた結果、俺だけしか使えない銃になってしまった。


 この銃の機構としては、物凄く単純なもので、結果からいうとバレルしか存在しないのだ。




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ヴィブ○スとヴィル○ーナぐうかわ。クォレハ実装された時が楽しみですね(現在ガチャ石三万五千個)

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