第4話 パンドラの箱 ④
20枚ほどの写真は全てラミネート加工がされてる。
写真の他には
古いUSBメモリと数冊のノートがビニール袋に二重に包まれた状態で入っていた。
ノートをビニール袋から取り出して中を開いて見てみると、
小学生くらいの子どもの字体で鉛筆書きされた日記のような内容のものだった。
「これはタイムカプセルじゃないか?」
タイムカプセル…
一体誰が埋めたタイムカプセルなのだろう。
「何か良いものが出てきたかな?」
急いで家に入り3階へ駆け上がって行くと、リクは僕に声をかけた。
僕は内側のジュラルミンケースを家の中に運び入れていた。
「沢山のプリントされた写真と、日記が書かれたノートが数冊入っていました」
「金銀財宝の宝物ではなかったか。残念だったな」
リクが僕に笑って言った。
「金銀財宝より余程面白いものかもしれません」
「さあユージン、先ずは水分を摂りなさい。暑い中の作業ですっかり汗だくになっている」
「…はい。そうします」
僕はキッチンへ行って冷蔵庫の中のミネラルウォーターを取り出した。
冷たい水を飲んで喉を潤し、気持ちを落ち着けたかったが、
僕の興奮はいっこうに覚めることはなかった。
「おじいさまは、もしかして中身を知っていたのではないですか?」
キッチンからリクに大きな声で話しかけた。
「おやおや、どうしてそう思うんだ?」
「お父さんが、この地図をくれた人が、このケースを埋めたんじゃないか?って」
「ふんっ!全く、ケントはまるでロマンがない。あれでよく考古学者などやっている」
リクは笑って椅子からゆっくりと立ち上がった。
「さぁ、汚れても良いシートを敷いてケースの中身を出して見せておくれ。あちこち汚したら、それこそメグから大目玉をくらうぞ」
「はい!」
僕は地下の物置へ行って大判のシート見つけた。
それを持って再び3階へ上がると、
リクは窓辺に立って外を眺めていた。
「お前が開けた穴をケントが一生懸命に埋めているよ」
リクはそう言って僕に笑いかけた。
「………穴を埋めるくらい……それくらいしてくれてもいいと思います。普段、お父さんは僕に何もしてくれていないんですから」
僕は少し投げやりに言ってしまった自分にハッとした。
「ユージン。そんな風に言うものではないよ。ケントは……庭からお前の声が聞こえて、走って外まで駆けて行ったんだよ」
「おじいさま、とにかくこの中身を早く一緒に見ましょう」
僕は窓際に立つリクの腕を引っ張って、テーブルの方に連れて来た。
「この写真の、この人たち…は?この女の子は誰ですか?」
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