第33話 ルクル

"「もう......分かったから...」


言葉がでず 震える体に ユミさんは 初めて優しく 抱きしめてくれた......


「こんな時だけ......優しんですね...」


勝手な 優しさに 涙が溢れ 止まらない...


僕だって 理解してないわけじゃない 僕が第三者なら 当たり障りのない 言葉を掛けて 相手の気持ちになって...なんて......いくらでも 言ってあげれるだろう......そんな 言葉に なんの効果もないのに...ユミさんは そんな言葉も掛けず


ただ......側にいて...僕を抱きしめてくれる




暫くの間 ユミさんの 胸に抱かれ 子供見たいに泣いて......どれくらい そんな時間を過ごしたのか......もう 涙が出ない...


僕は ユミさんに


「もう...大丈夫だから...ありがとう...」


ユミさんは そっと 僕の体から離れ 何も言わず


僕を見つめていた。


そして、ゆっくりと


「お前は 私が守るから......」


僕は思わず 笑ってしまった。


「なんで 僕が 守ってもらうわけ...僕の事はいいから...ちょっと 気になる事が あるんだけど


僕に 兄さんがいるの?なんで 渉さんは 兄さんも一緒に 連れていかなかったの?」


かなり不思議だった 僕の問いに ユミさんは


「あの時 お前の兄ルクルは 城で暮らしてなかった......お前とルクルは リーズデンベル国の王子であったけど 後継者は一人と決まっていて


ルクルは 後継者にはなれなかった...城に暮らしていいのは 国王と王妃 そして、後継者 後は執事 飯使い 雑用をする人たち そこにルクルはいない......お前が生まれてから 城を出て 特殊訓練を受け 護衛部隊に所属し 国王を守る役目についていた


お前たちは 兄弟だけど かなり年が離れ


順番で言えば ルクルが後継者になるはずだったが 国王は 超人的な 身体能力が長けてたルクルを


護衛隊長に任命した。


今回 国王シリターは お前をリーズデンベル国に 連れ戻せと ルクルに命じたが


ルクルは 国王の命令に 背きこの国を リーズデンベル国のように 支配して この国を自分の物にし......後は お前を殺す計画を立てた......


ルクルは お前を 恨んでる


もし...あの塀を乗り越え ルクルに会えば なんらかの形で お前を殺すだろう......




ただ......渉さんも私も こんな風になるとは


思ってなかった......ただ この国で 普通の生活をさせてやりたかった...すまない


たくさんの人たちを 死なせて...これから 死ぬかもしれない あの場所に お前を連れていくのか


山田さんたちが 死んで......から ずっと考えた......何も知らないままで いいわけないだろって......」


初めて ユミさんの本心を聞いたよ..."


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