第23話 手紙

"僕は、膝まづいた 足を起こし 丸椅子に座り ユミさんの髪を ゆっくりと撫でた。今、ここに居るユミさん 意識がなくても 僕の隣に居てくれる それだけでいい......


そんな思いを感じながら 暫くユミさんを見ていた......


そして、握った手紙に 目をやる...この手紙を読むために 僕は心を落ち着かせ 一呼吸し ゆっくりと読み始めた。




......お前さんたちが この手紙を読む頃には わしらは 皆死んでるじゃろう......


けどのぅ これは、わしら皆が選んだ事じゃ...




お前さんらに 出会う前は ひっそりと生きとった...何もない事を祈り じゃが お前さんらが わしらの目の前に現れ わしらの光 そしてヒーローに なったんじゃ!


ほんとにのぅ 年甲斐もなく 嬉しくて 嬉しくて 毎日が楽しゅうて お前さんたちと 過ごせた時間が わしらにとっては 宝じゃ......ありがとのぅ


わしらは、決して苦しんで 悲しんで もがいて死ぬわけじゃあない......


ただ、お前さんたちが 狩りに 行ってる間に 事情が変わったんじゃ


軍人の一人が わしらのとこに着よって 上からの命令で わしらを排除することに なったんじゃと教えてくれよった。


しかし その軍人は、無駄に人を殺す事が嫌で わしらに 伝えに来たんじゃ 苦しんでる軍人に わしらは 希望の光が見えた 気がしたんじゃ......  だから、わしらは もういいから、お前さんたちの 助けになって くれんじゃろうかって 軍人に頼んだんじゃ


もし、お前さんたちの前に 現れる軍人は きっと同じ光になるじゃろう。


だから、生きて 生きて......生きてくれんじゃろうか


わしらの分までとは 言わん。


まだ見ぬ 未来のために 生きて くれんじゃろうか......山田




僕は......今日だけ...ユミさんの胸を借り 顔をうずめて泣いた......声を殺して 泣いた......"


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