第19話 危機
"ユミさんと別れてから 4日目
自分なりの修業を する決心をしてから 僕は 生きてる物ではなく 落ちてくる葉や 風に吹かれた葉 投げた石など いろんな方法で 矢の練習を試みた。落ちてくる葉は 揺られながら 吹かれながら 行く先の 定まらない物を 射ぬくのは やはり難易度の高い物 石はスピードの あるもので これも 動体視力を 養うには かなりいい感じだった。
せめて 少しでも ユミさんに 近づきたい それしかない!
瓜坊は 相変わらず 僕の後を ついて回って 離れる事はなく お互い 戦友のように なっていた。
4日間 共に過ごし 寄り添い 寝起きし 付かず離れず ここまで......僕は コイツのお陰で 生きれてる 気がした。
この時の僕は 自分の事で精一杯で まさか ユミさんに 守られているなんて これぽっちも 気づかず いい気になってた......それを知ったのは 山に入って ちょうど一週間 最後の日
この日は、朝から激しく雨が 降り続き 僕も瓜坊も 必死だった......僕は 瓜坊を胸元に入れ 激しく 降り注ぐ雨に 打たれながら 修業をしてる自分に どこか酔っていた。心の中で どこか....そんな 気持ちで 修業してたから 僕は......ユミさんを 危険な目に 合わせてしまった......。
激しい雨で 地盤が緩んでる そんな事は 分かってたつもりだった......でも、自然はそんな 優しくなく残酷だった......僕の足を捕らえ そのまま 斜面に引きずり込もうと 僕は 必死に その辺にある あらゆる草、枝、木に もがきながら 必死にしがみつこうと 濡れて重くなった体を 持ってる力 全てを出して あがいた......あがいてあがいて 僕のあがきも 許されず 死を覚悟するしかなく 走馬灯のように 今までの 記憶が流れ始め 僕の意思とは別の感情が......瓜坊...ゴメン...お前だけでも...僕の最後の最後の...力を 胸元の瓜坊を 必死に掴み出し 思いの力で ほうり投げた その瞬間
「あきらめるな!」
どこかで...聞いた...声...意識が遠くなりかけた 僕に 誰かの手が 差しのべられた。
時が止まったかのように ユミさんの顔が 僕の目の前に 飛び込んできた......何故か 必死すぎるユミさんの顔 木にロープを縛り 脇の下にぐるぐるに巻かれたロープ 僕を助けるために 危険をかえりみず 両手を差しのべ......必死に...僕はユミさんの手を掴んだ
"
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます