第12話 危機

"僕は 目を疑った......あれは ユミさん!?


どうして......鼓動が 高鳴り 胸の奥が チクチクと痛む ぎゅっと 胸を掴んだ。何が起きてるのか 理解ができない。頭の中が 真っ白で 動く事のできない 歯がゆさと 葛藤しているとも 知らず ユミさんは 不自然に両手を前に 一歩ずつ進む


「おっ おばあちゃん おっおばあちゃん!どっどこ?」


お婆さんに 向けられた 散弾銃は 一斉にユミさんに......それでも 顔色を 変えることなく 不自然に 進む


「おい!止まれ!」


軍人の 大きな声が 静まりかえった 街に響く


ユミさんは 頭を傾げ 聞こえなかったのか それでも 前に進む


軍人の一人が 物凄い勢いで ユミさんの前に 立ち塞がり 散弾銃は ユミさんの頭に 向けられた


それなのに 散弾銃が 見えてないのか 前に進もうとする


軍人は持ってた 散弾銃を 大きく振りかぶり


ユミさん 目掛けて......その時


バババババーン バババババーン バババババーン


軍人の 中の一人が 空目掛けて 散弾銃を撃ちはなした。ユミさんに 振りかぶった 散弾銃は 頭の10㎝手前で 止まる。心臓が口から 出そうで 思わず 両手で口を塞ぐ。生きた心地がしない...


「やめとけ!その女は 目が見えない だけだ!ほっとけ!」


「......ふん!目くらか!じゃ しょうがねぇ」


そう言うと ユミさんを 突飛ばし 去っていった。


居なくなったのを 確認すると ユミさんは 元のユミさんに戻り お婆さんに駆け寄った。


僕は 足が震えて 一歩踏み出すのが できず 動かない足を 思いっきり 殴り やっとの思いで ユミさんに たどり着いた......その時には ユミさんの腕の中で お婆さんは......もう...動かない...


周りにいた 人たちは どうする事も できない無力さに すすり泣き お婆さんに 手を合わせ 口々に 思いを告げ 身を隠し始める


そんな中 一人の おじいさんが ユミさんに 話し掛けた。


「すまんのぅ...無力で こんなにも 大勢の人たちがいても 何もしてやる事が できんで...お前さんのような 若くて 勇気のある者たちは 皆連れていかれ ここにいる者は なんの役にも 立たない 年寄りばかりじゃ......わしらは ただ死ぬのを待つだけじゃ 皆 もう無力で なるべく静かに 死にたいと 思っとる わしらに できる事は なんも なくなってしもうた......すまんのぅ」


そう言い残し 立ち去ろうとした時"


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