君といっしょに地獄に行く

地獄には行きたくないです。

助けて、誰が僕をこの企画から連れ出して。

二人で海を見に行くぞ。せーのっ!

……。

では、始めます。


『一話へ』

これは根本の否定になる恐れがあるので良く落ち着いた状態で聞いていただきたいのですが、

零という名前は少し安直すぎると思います。それを言うと僕の、怪異が見えるキャラである大嵐レイが安直過ぎるってのはどうなんだってことにもなりますが、一応理由があって。

主要キャラの括りの話です。

より噛み砕いて言うと、主要キャラをどこまでに設定するかの話で、

僕は今言った自分の作品を「大嵐家を構成する主要キャラクターの話」だと思っています。

そして見た感じこっちの零君は「主要キャラの話」だと思います。


これにどういう違いがあるのかというと、上はグループの中でたまたまスポットライトを当てられたキャラが主要キャラ扱いを受けている状態で、下は主要キャラが個別に存在している状態なんですよね。もっと解りやすく言うと戦隊モノで色が割り振られているのと同じです。


そのキャラクター性を把握しやすいように、敢えてグループものではパッと見で分かるような、各々の個性を象徴するような名前を使っている訳です。そして逆に、主要キャラが個別の存在としてある場合にはその個々人をキャラクターとして印象づけるためにそれなりに捻った名前を使った方が良いです。まぁ、その名前がどうしても良かったならそれで良いし、あくまで戦略的に名前を決めるならそうした方が良いと思うっていう話です。


安直なのは悪いことじゃないです。例えば綾波レイだってレイですし、それでいて有名です。

だけど、単に綾波レイというだけでは綾波レイは綾波レイたり得なかった。エピソードがあって初めて綾波レイは一人の、綾波レイとしてのキャラクターを持ち得る。それが成立するのは監督や書き手の腕があってこそです。素人のうちは、なるべくぱっと覚えて貰えてかつ、他の人が誰も使っていないような名前を使った方が良い。そう思いません?って話です。


あと、名前を本編中で最初に出すとき、それが漢字ならどういう形でもいいので読みを説明しましょう。これはどれだけ読みやすい名前であっても不親切です。

誰もがあらすじを読むわけではありません。


『二話へ』


『 まだ口を塞がれている零は騒ぐことはしなかったが、今から身体をバラされて不思議ではないその部屋に生唾を飲み込んだ。』

小説を書く時はまず自分の常識を疑いましょう。あなたが想像した部屋を『今から身体をバラされて不思議ではないその部屋』だと思ったとして、果たしてそれを説明もなく書いてもいいものか。僕は他の批評で、説明的なだけは良くないとか言ってますが、それは別に偏見を相手に伝わるかわからない状態でさらけ出せと言っている訳じゃないです。そして何より、偏見を常識として書かないこと。偏見を偏見として書く場合は許されることもありますが、作者の偏見を読者に常識として押し付けられるのはなかなか迷惑です。もっと拒絶するか、読者に寄り添うか、どちらかにシフトしてください。


『今からこの場所で身体をバラされるのではないか、なんて妄想が脳裏をよぎったのは穿ち過ぎだっただろうか』

とか、

『身体をバラされたって不思議じゃない部屋の雰囲気に、思わず息を呑んだ。』

みたいな、作者の偏見が入るところは、自らの発言を疑ったり確信を弱めたりしてみると良いでしょう。


あと、素人がやりがちなんですが台詞の段取りを無視するのはやめましょう。


『「ただ……何から聞けばいいか整理がついてなくて……」

「そういうことでしたか。それなら私から色々と説明しましょう」

 天音は納得したように屈託のない笑顔を零に向けた。

「ここは一条家の分家である一ノ瀬家の修練場です。なんで一ノ瀬家なのかというと、一条家の修練場は血生臭いことも行っていたので好きじゃないんですよ。その点、一ノ瀬家の陰陽師たちは清く正しい陰陽師だったので気持ちよく使えます。その名残かは分かりませんが、ここには幽霊が寄り付かないんです。国見さんと落ち着いて話すには良い場所ですよね」

 零は天音の言葉を確かめるように周りを改めて見渡した。確かに幽霊が一人もいない、零にとっては不思議な光景が広がっていた。

「私はこの制服の通り河岸学園の一年生です。私の家は河岸より三地区離れた場所ですけど、あの辺りは近くに高校がありませんし、進学校とかよりも通学距離を考えて河岸学園に来たんです。そしたら危険な心霊スポットがある、とホームルームで近づかないように注意を受けまして。陰陽師として見過ごすわけにもいきませんから、下準備を終えて呪い会いに来たんですよ」

「……それじゃあこの『呪い』をどうにかできるってことですか?」

「やっと会話ができそうですね。そうですね……国見さんは私がどうにかできると思いますか?」』


いきなり訳の分からないことを聞かされた人の反応というのは常に意識しておきましょう。

例えどれだけ達観している人でもいきなり全く聞いたことのない情報に対しては何かしらの反応をするものです。

他にもっと聞くことあったじゃんって思いました。


『下準備を終えて呪い会いに来たんですよ」』

あとここ、呪い合いか、会いに来たかのどっちかだと思うんだけどミスだと思うんですよね。


『「国見さんの霊媒体質……『霊転蠱貢』《れいてんこく》と名付けましょうか。』

ルビ振れてないです。


『全ての元凶であった、という受け入れたくない現実。予』

自分が~とかつけたらどうです?


『だが、天音は楽しそうに絵を描いていたこともあって、絵に触れずらい。』

よほどなにかがあるわけでもない限り、触れづらいとしておくべきでしょう。


先を急いでいるのか、台詞回しに本来あるべき相手の台詞に反応する場所がめちゃくちゃ少なかったり、あと結論がはやすぎたりします。物事の説明というのはある程度の手順を踏んで行うものです。それがわからないなら友人におすすめの本をどう紹介したら面白く思ってもらえるだろうかって考えてみてください。なるべく物分かりが良すぎない人が良いです。その人に、どこをどうつまんで説明すればその魅力が伝わるか、どういうときに、相手がどういう反応をするのか、など考えてみると良いです。実際に会話をしてどう反応されるかも観察してみていいと思いますよ。

そして、そういうときその人には「解らなかった箇所」が出てくる。

それをどう説明すれば今度はわかってもらえるのか。それを考えて、実践してみてください。

「どう説明すればわかってもらえるのか」を知っておくのは大事ですので。


『四話へ』


『その一時から戻されたのは天音が悪戯心でよく冷えたペットボトルを零に気づかれないように零の首筋に押し付けたときだった。』

みんなやりたいシチュエーション。

良いね。零に、零のってちょっと繰り返しがくどいと思うけど。


『「あれ?行ってなかったけ?」

「聞いてないです」』

変換ミス。


『六話へ』


『あれから半年が経った。』

半年?イベントとして唐突すぎない?

えっと、ヒーローに声かけする前振りもなく気づけばアベンジャーズが結成されてた…みたいな。

僕なら、

『次の日から稽古が始まった』

みたいなことを書いて、その内容の説明をしてから、半年経たせるけども。

いや、順番の問題であって、その後に稽古内容を説明するんだったら良い?

あぁ、わかった。これはあれだ。

WEB小説自体の性質だ。


『稽古に至るまでの話の内容


そして、半年が経った』

みたいな感じのことを言ってる訳だけど。

WEB小説は話が明確にわかれてるし、一番最初に強い文を持ってくるのは読者を混乱させてしまう場合がある。心構えって話をしてもいい。

例えばその『半年』の一文を半年後の話をし始める前の話につける。

すると、読者は気づく訳。「あぁ、次からその修行内容か半年後の話が始まるわけね」って。

だから次の話からいきなり半年後に飛んでもそんなに驚かない。

ただ、『半年』の文を半年後の説明に入ってる段の話につけちゃうと。全てが唐突になる。

前後の繋がりをいきなり切られたような感じになる。心構えも無しに「えっ、いきなり?中間は?」ってなる。たぶんそういう話だ。


『七話へ』


『あの稽古を五体満足でよく耐えているよな、と今までの稽古を振り返ると感慨深くなる。』

稽古稽古繰り返すな、滑稽だぞ。ごめん、それは流石に嘘だ。


『安堵した零は、天音に笑みに笑い返した。』

たぶん、「の」


『九話へ』


『うちの家をこういう風に見られていたのか、と零は眼前の光景を自分の家に重ねていた。』

「を」じゃなくて「は」だと思う。


『『開耶姫』《さくやひめ》』

またルビ振れてないね。たぶん振り方のルール知らないんじゃない?これは漢字の後に直接つけなきゃ振れなくて、そうじゃないときはルビを振りたい箇所の先頭に|をつけるんだぞ。


『十話へ』


『もしも、生前のあのウエディングドレスの亡者の中に赤子いたら。』

赤子が


『十一話へ』


『「わたしを、きょぜつ、するなー」』

緊迫感ないねぇ。まぁ、これはこれで好きかもしんないけど。


『女性が泣きそうな声で叫ぶと、男の態度が急変した』

句点ない。


『『俺さ、しっかりとした女嫌いなんだよね。抜け目ないっていうか、扱いづらいっていうか。束縛強いじゃんお前。正直言って顔は良いけど、好みじゃないんだよね』』

キャラクター的にしっかりした、だと思う。


『十四話へ』


こういう話を書きたいのはわかる。

こういうシチュエーション書くと楽しいし、逆に他の描写してる時間は退屈だったりするもんな。

でもねぇ、時間が足りない。足りてない。

主要キャラの間にまだ読者が魅力を感じきる前に関係性を変化させようとしちゃだめだよ。

まぁ、これで関係性は変化しないにしたっていきなり過ぎるよね、なんで?しか来ないもん。

ここに至るまでの時間、日常が長めに描写されてるわけでもないから壊れた日常を演出できるわけでもなく、ただ書きたかっただけでそんな意味ないシチュエーションに見える。実際どうかは知んないけど。


ただ、『これからの日々が始まる!』みたいな空気を出しておいてすぐ壊すと読者が消化不良起こして減っちゃうぞ。マジで。気を付けなよ。


あと、これまでの批評ではあんまり指摘してこなかったけどよくある問題があって。キャラクターごとのニュアンスが薄い。

つまり、スルメをゲソって言う人を作った方が良いって話なんだよね。

で、それがどういう意味かっていうと。

キャラクターが特定の物を呼ぶときに全然別の性格のキャラクターなのにまるで同じ名称でそれを呼んでいるって案件だね。


「なぁアンタ、ありゃなんやと思う?」

「何ってハンマーだよね?」

「アホウ、金槌やろが!」


って感じに呼び名って人によって違うと思うからさ、台詞だったら名称合わせてあげてるにしても、地の文と台詞で視点が違うのにまったく同じ言い方してるとなんかもやもやする。


『十六話へ』


『あんなことがあっても天音は自然体で話しているが、零はそこまで器用じゃなかった。

 それから勝手な気まずさを感じながら天音と過ごし二週間ほどが経った頃。ようやく零の痛みが治まり、天音の介抱なしでも歩けるようになった。』

時間経過を挟むときは間に空白行くらい設けよう。


『十五話』

まって、なんで話の順番こうなってるの?

ずらすときミスった?致命的だよ。


『天音は気分よく亡者yが群がる修練場の扉を開く。』

謎のy。


『亡者たちは白い光包まれ、間抜けな声を上げて消えていった。』

光に。


『十七話へ』


『一ノ瀬家の修練場から出て半年と二か月。』

だから雑に時間経過させすぎなんだって。


『「こんなもう観光地だろ」』

こんなのだかなんだか知らんけど、何かしらのミスはあると思う。


『道長の良くない噂は美空も良く知っていた。そして、情に厚く誰よりも優しく綺麗な心を持つ美空は、家族を守るために一条道長の妻として一条家へ嫁入りした。』

そして、じゃなくてだが、とかだと思う。


『天音と美空の苦渋な決断も知らずのうのうと生きる道長は、天音が人形となると新しいビジネスを始めた。』

他の場所で似たような「な」の使い方してるの見たけどね。やっぱりそれはおかしいと思う。


『一条家一家変死体となって見つかる事件が起こる。』

てにをは。


『『しつこいのよ。あなた。けど、今は感謝しているは。あなたが出てきたおかげ天音との繋がりが強くなって、一条家の結果を突破することができたわ』』

いるわ。おかげで。


『「なら、私の計画を手伝ってよ。私と同じものを見てきたならわかるでしょ。この世界を「地獄」変えるこの意義が」』

「地獄」に。


『まとめ』

全部読んだのでまとめると、

『大前提として文字数と内容が釣り合ってない作品です。本来もっと時間をかけるべきところが一言二言で終わっている。そのため時間も飛び飛びで読者は絶対に困惑します。もう少し内容を省かず長く書く訓練をしてみましょう。これでは全体から焦りのようなものが伝わってきます。っていうか、焦りなさいって強要されてる感じがあります。それに、怪異を祓う話なのかと思ったら肝心の怪異を祓う描写はかなり少なかったりして、結局何がやりたかったのかいまいちな作品に見えるんですよね。キャラクター同士の話を主体で書きたかったのなら中途半端に入れられた怪異に関する話が邪魔ですし、そういう面においてかなり残念な作品だと思いました。描写自体はめちゃくちゃ下手ってこともないのでまずは話に余裕を持たせ、なるべく全体の尺を取って書きましょう』

ってとこです。

あと、僕も不要に話を展開させがちな人種なんですが、その対処法として僕の書いている『Aliceは鏡の中にいない。』というのでは通常の話は12000文字以上とることと、ひとつの話に出す大きなイベントは一つまでにするよう心がけています。

そんな風に文字数を予め決めて書いてもいいかとしれません。急すぎる展開は読者を困惑させるだけです。

あと、話の順番がずれていたりは本当に致命的なので気を付けた方が良いですよ。

ちゃんと自分の書いた文章読み返してますか?

話のずれに気づかないってことはそれすら心配なんですが……。


長くなりましたが、以上です。

企画への意見、ここをこうした方が良いんじゃないかとか、言い過ぎじゃない?とか、もっとここ指摘して欲しかったとかあればどうぞ。

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