第18話 エロイヤン四世の依頼

「ヘイ!マッソー!マッスル!マッチョー!」


完全にゲームとは違う展開になっている。

ゲーム中では謁見の間にいるのは貴族達で、話しかけるとエロ話を始める設定だったのだが、ここにいるマッチョ達ももしかしたら貴族なのかもしれない。


ゲームのように気軽に話しかけられる状態では無いので、王様エロイヤン四世と話を始める事にしたのだ。


「良く来た、勇者よ、ワシはそなたが来るのを待っていたぞ」


エロイヤン四世は王様なんだけどタンクトップにホットパンツ姿。

一応マントを羽織っているが、パンプアップされているのか筋肉がピチピチになっていてタンクトップの上からもモッコリとした大胸筋や肩の筋肉が、なんか凄い。


王様も待っていたと言うので、俺も担当直入に目的を伝える事にした。


「実はここから先の魔王討伐には船が必要になります、貸していただく事は出来ないでしょうか?」


王族や貴族事情に詳しいインテグラが隣でオロオロしていたけど、勇者クオリティや特権で済ませてしまう。


普通なら堅苦しい挨拶とかするかもしれないけど、無視。



エロイヤン四世はしばらく考える。


「そうだな、鉱山の街の向こうの町には労働者向けの筋肉の発達欠かせないステロイドポーションがあると聞いた事がある、それが入手できたらならば船を貸してやろう」


ヤバイぞ、ゲームと全く違うシナリオ展開になっている。行き先は基本的に同じようだが、どう関係しているのかサッパリわからないが、とりあえずゲーム攻略通りに話を進めていこうと思う。


「勇者殿、貴殿は筋肉に興味は無いのか」


エロイヤン四世の言っている事は台詞は違うが基本大まかなストーリ展開は同じだ。


三世の時は「勇者殿、貴殿はエロに興味はないのか?」と聞かれ「はい」を選択すると「今度夜の店に案内する、楽しみにせよ」、「いいえ」を選ぶと「真面目な奴じゃの、男はエロで生きている物じゃ」と返答される


さてどうしよう、どのように返答すべきか迷っているとフレイアが返答していた。

「王様、私達の体は戦う為の戦士としての体作りをしております、筋力トレーニングの仕方が異なりますが、大変興味あります」


「そうか女戦士よ、ならば我が城にある筋トレマシンをぜひ使うが良い!」


「えっとエド、私達どうなるっすか」

「わからん、勇者スキルでもイマイチわからん」


俺達は王様に連れられトレーニングルームに連れて行かれてしまったのだ。


・・・・


「ヘイ!マッソー!マッスル!マッチョー!」

「イイ筋肉しているよ! さぁあともうワンセット!」


トレーニングルームからはこんなかけ声が響いている。


「そうそう! それは筋肉が喜んでいる証拠さ! 筋トレはご褒美だ! 筋肉は裏切らないぞ!」


「ヘイ!マッソー!マッスル!マッチョー!」



「エド、ヤバそうっすよ」

「俺もそう思う」


 セレスが俺の横でモロに嫌な顔をしているが、エロイヤン4世の前ではにっこりと表情を変えていた。

 置かれている状況にドン引きすらしていたが、俺も愛想笑いのような表情をするとエロイヤン4世も上機嫌でトレーニングマシンの方へ俺たちを案内する。


「さぁ勇者殿、この最新式の筋肉強化マシンで好きなだけ筋肉を鍛えてくれたまえ、専属のトレーナーも付けるここでレベルアップしてここから先の旅のために役立ててほしい」


エロイヤン四世はマントを外すし、トレーニングマシンを使いトレーニングを始めるとかけ声がかかる。


「ヘイ!マッソー!マッスル!マッチョー!」


 筋肉がブチブチと悲鳴を上げていそうだが、エロイヤン4世のトレーニング始まると部屋のかけ声や熱気が一気に上がった。


「エド兄ちゃん、やらない訳には行かないのだ」

「私もそう思うぞ」


「さぁ、勇者殿達もこちらのタンクトップとトレーニングウェアに着替えてトレーニング開始ですぞ」


トレーナーに言われるがままにトレーニングを開始し、解放される頃にはぐったりとしていた。


・・・・


「俺達はレベルが低いからな」

「エドが鉱山の前の森でインチキしたからっすよ」

「力のポーションばっかり飲んでいたから筋力はあるけど体力がないのだ」


「ヘイ!マッソー!マッスル!マッチョー!」

「勇者殿達は筋肉大きくないけど、すごいパワーだ!、鍛えればエロイヤン様と同じ位にすぐになれるよ! どうだい、毎日トレーニングを続けないかい?」


俺達の専属トレーナーが声をかけてきたが、丁重にお断りする


「魔王討伐の使命もあるので、先に進まなければなりません、レベル不足を感じたらここでトレーニングさせてもらうよ」


「そうか! その時が来たらバシバシ!バルクアップだ!」


こうして、ゲーム上には無かったトレーニングイベント終る。

みんなレベルが上がったのかな?


何となく疲れた。精神的に。


今日は寝よう。


・・・・


ここは王様と話をしてもセーブできない場所なので、謁見の間にいる宰相と話すとセーブする事ができる。

トレーニングルームを後にして宰相に話しかけてみた。


 宰相もマッチョになっている、ゲーム上だと口ひげを生やしたオッサンだったけど服の上からもわかるモリモリマッチョマン。


 話が通じるのかと思ったら宰相は普通に話をしてくれた。


「勇者殿、貴殿達が次のレベルになるには……と続き、本日の旅の疲れを取るか?」

と聞かれた。


ゲーム上のセーブして終了の意味だ。


俺は「お願いしますと」答えるとそこで意識が飛んだ。


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