第17話 エロイヤン交易都市
日本語で言うとエロいやん!って関西風の響きでヤバそうな国の名前だが、エロイヤン三世が統治する立派な国である。
まぁご想像通りに王様はお盛んな方で開発の人も意図的にそんな名前を付けたのだと思う。
「ここがエロイヤンですか?」
「地図だとエロイヤン王国、王都エロイヤンとなっているのだ」
俺もゲームでは何度も来ているが実際に訪れた事はこれが初めて。
街中にネオンとピンクなイメージが漂う感じだったはずだが、実際に入ってみるとエロ要素が全くなくなっていた。
「マッチョな兄貴達が歩いているっすねぇ」
「マッチョな姉貴さん達も歩いているのですね」
確かにみなさん露出の多めな服装なのだが、ゲーム中のエロイヤンはNPCも水着風の服装で男キャラは上半身裸の設定が多く、台詞もエロを想像させる物ばかりでこの街で街の人に話を聞いて得られる情報はなかった。
街の出入り口にいるハードゲイ風の衛兵?に話しかけてみると
「ようこそ美と健康の街エロイヤンへ」と返答された
ゲーム中だと「ようこそ美と欲望の街エロイヤンへ」って感じだったよなと。
俺はエロイヤンの街の中を進んで行くと街の変わりように驚くが、今回初めて訪れた仲間達からすると、噂とは全く違う街なので違う意味で驚いていた。
「確かに変な街だときいていたけど、全然エロくはないのだ」
芝が張り巡らされた公園では老若男女達が健康的な汗を流し、筋トレ中だ。
街ゆく馬車待ちの人々は停留所の待ち時間を使い、スクワットや懸垂をしている。
(なお、ゲーム中では成人指定に引っ掛かりそうなので表現するのはやめておく)
いったいこの街に何が起きたんだ?
「お兄さんたちエロイヤンには初めてかい?」
「いや、昔来た事があるがとても変わったなと思ってさ」
ゲームではNPCに対してこちらから話しかけないと会話がスタートしない仕様だったが、この世界ではときどき他の人に声をかけられる事もある。
「この街が風俗の街と呼ばれていたのはエロイヤン三世様の時代までだ、今はエロイヤン四世様に変わってな、エロも良いけど体を鍛えて健全な体作りをするんだとかで一気に変わったんだ」
と言われても絞りに絞りまくった、体脂肪五%以下のマッチョ達がタンクトップ姿で筋肉を見せびらしながらポージングしつつ、街中を歩いているのを見ると。
異常としか思えない。
「エド、とりあえず王様のところに行くっすよ」
「そっそうですわ、目に毒ですわ」
セレスは呆れているが、インテグラは顔を隠しながら、微妙に指の隙間からマッチョ達を凝視しているように見える
「インテグラは、マッチョが好きなのか?」
「えっ、ええっ、と」
顔が真っ赤で口元が緩みまくっているので、横から見ていて危ないネーチャンにも見える。
人の趣味の事は特にツッこまない事にしよう。
ただ、フレイアがボソっと言ってしまう
「戦いのための体じゃないぞ」
「フレイアさん!筋肉は美しいのです!」
「私もあるぞ」
フレイアは上腕二頭筋もムチっとやってみる。
女性の上腕二頭筋って男のガチな感じと違い、どことなくセクシーさも感じるので俺は好きだったりする。
「俺は好きだな」
心の声が思わず出てしまった。
「なっ、何を言っているのです、エド!」
真っ赤になっているフレイアがいた
「お兄ちゃん、とんでもない事を言っているのです」
「エドは確信犯っすよ、本当はフレイア姉の事が好きなんじゃないっすか」
インテグラはフレイアの上腕二頭筋にうっとりしているので無口だ。
「とりあえず、王様のところに行こうか、エロイヤン四世のところだよな」
「そうっすね、それが良いっす」
エロイヤンの街を抜けるとエロイヤンの城へ到着する。
城への出入りはここも同じで衛兵に勇者だと告げると、あっさりと謁見が許可され、謁見の間へと移動した。
謁見の間までの道を良く知っているかって?
そりゃゲームで何度も来ているから2Dマップでもリアルマップでも同じだからさ。
ゲーム上ではエロイヤン三世がとある街にある”シュンガ”と交換で船を貸してくれる設定となっていたのだが、カタカナだから何の事だか意味がわからなそうだけど、全年齢対象のゲームだったらこの表現ってアウトだよな。
後日、別機種に移植されたバージョンでは”ウキヨエ”に変更されていたけど。
「ヘイ!マッソー!マッスル!マッソー!」
謁見の間に入る前から怪しいかけ声が聞こえて来るのだ
「ヘイ!マッソー!マッスル!マッチョー!」
「なんかヤバイっすよ」
「いや、まだ健全だと思うぞ……」
エロイヤン三世の時は”絵画、調べる”で絵画を調べると エロ系の絵画とだけ説明文が流れていたが、ここにある絵画は、なぜか上半身裸のマッチョ兄さんやタンクトップ姿のマッチョレディの物ばかりだ。
「この人がエロイヤン四世なのか」
「たぶんそうですの、私は一度だけ見た事があるのですわ」
エロイヤン四世の肖像は、なぜかブーメランパンツ姿でミケランジェロの銅像みたいにすげぇマッチョでありサイドチェストポーズやモストマスキュラーポーズを取っている所に、美女が周囲を囲んでいる肖像画。
謁見の間の前には革ジャンに鋲が打ってあるハードゲイ風の兵士が立っているが、俺達を見ると扉を開け謁見の間へ案内された。
謁見の間に入った瞬間に、この部屋の温度だけ十度位高そうだ、いや周囲にいるマッチョ兄貴や姉貴達は何なんだ!
全員がタンクトップにホットパンツ(短パン)姿。
「ヘイ!マッソー!マッスル!マッソー!」
「ヘイ!マッソー!マッスル!マッチョー!」
ポージングを決めながら俺達を迎えてくれたのだ……。
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