第9話 洞窟のドワーフから魔法の鍵を貰うイベントなのだけど?

 フレイア・インテグラ・セレスティーン・メイアと俺の五人構成になった新パーティで早速街の外に出て草原を移動中だ。


「エド、ここから先どうするんだ?街で情報収集も何もしなかったぞ」

「フレイア、俺は大体わかるんだよ、勇者スキルってヤツだな」


 この魔王討伐三、一応やりこみ要素も用意されていて一周目二周目と微妙にアイテムの位置やイベントが異なる。

 もちろん街の人に聞き込みを行えば変わった場所について教えてくれるのでそれに合わせて行動すればヒントを元に探す事ができるのでスムーズに話が進む。

 ただ、それほど大きな変更はないので一周目がクリア出来れば二周目も若干違う程度に済んでいたし、重要イベントのシナリオは基本的に変更はない。


 今回のイベントは近くの洞窟に住むドワーフに魔法の鍵を作ってもらうイベントだ。


「全然目的を聞かされずに移動するのは、なんか不安がありますわ」

「ごめんインテグラ、説明しておくよ」

「今回の目的地はLV5位で行けるドワーフの洞窟が目的地だ」

「あのドワーフの洞窟って、初代の方が亡くなって二代目に変わった場所ですわ」

「えっ?死んじゃったの?」

「そうですわ、五年前に亡くなって当時弟子だったドワーフが住んでいるのですわ」


 えっ、確かに当時もジイさんだったけどまさか亡くなっているとは……魔法の鍵が手に入らなかったらどうしようと不安になる。


 こんな感じで会話をしながら草原を進むと魔物と遭遇した。

 メイアとの初戦闘になるのでメイアがどんな感じの戦い方をするのか興味がある所だ。


「エド、敵だ!戦闘準備」

 フレイアから声がかかった。



 スカルクラッシャーとホーンラビットの組み合わせだ。

「メイア、強敵だ気をつけるんだぞ!」

「任せてお兄ちゃん」(※今回からエドお兄ちゃんは一部の時だけにします)


 ステータスの素早さが早い、インテグラが先制攻撃をする。

『バシュッ』とクリティカル音が響き、ホーンラビットが死んだ。


 続けてセレスが棍棒で殴ると同様の『バシュッ』とクリティカル音が響きスカルクラッシャーが死んだ。


「えっ、私の出番がないのだ」


 勇者学校で成績上位のメイアが唖然としている。


「エドとパーティを組むとこんな感じなんっす」

「セレス姉はある程度わかるけど、インテグラ姉は魔法使いでしょ?棒で叩いてなんで一発で倒せちゃうのだ」

「そうですね、エドとパーティを組むようになって勇者スキルとかでクリティカルヒットが簡単に出るようになったのですわ」


 メイアの頭に??マークが浮かんでいるようである。


「えっ、そうなのお兄ちゃん」

「勇者スキルの一つだな」

「私そんなの知らないのだ……」


「ドロップアイテムに毒消しポーションと棍棒が出てきたぞ」

「またドロップしたっすよ、毎回すっ」


 まだ序盤だからアイテムドロップと言ってもショボイ物しか出てこないなと思っているが、メイアの頭にはさらに????マークが増えているように見える。


「私は一回も魔獣がアイテムをドロップした所を見た事がないのだ」

「エドさんの勇者スキルらしいですわ」

「お兄ちゃん凄いのだ!」


 メイアは頭の中で何かの整理が付き「エドお兄ちゃんだから」と解決する事にした。


 こんな調子で魔獣に遭遇したらクリティカルヒットを出し続けながらドワーフの洞窟に向かう。


 *****


 ドワーフの洞窟


「洞窟に来たっす、松明はあるっすよね」


 松明なんかある訳がない、買ってない。


「セレスはライトの魔法を取得していないのか?」

「覚えてるっすけど、MPは温存したいから洞窟の規模がわからないうちは使えないっすよ」

「道順は大丈夫だ、最短距離で行くから俺にまかせておけ」

「初めての洞窟っすけど大丈夫っすか? まぁ回復ポーションも敵がたくさんドロップしているからMP切れで回復魔法が使えなくても問題ないっすね……」


 そしてドワーフの洞窟に入っていく


「ライト」


 セレスがライトの魔法を唱えると洞窟が明るく照らされていく。

 ゲーム中は2Dダンジョンだが、ここでは3Dダンジョンだな。

 ただ目標の位置方向がわかっている事や、洞窟に刻まれている目印も同じなので記憶を頼りに洞窟の中を進んで行く。


 洞窟の敵はホーンラビット、毒イモムシと毒のある敵がでてくるようになった。

 こいつらも登場一ターンで全滅し毒消しポーションと棍棒を落とす。


「お兄ちゃん、さっきから確実に魔獣がアイテムを落とすけどなんなのだ、学校で討伐訓練をしたときは何も落とさなかったのだ」

「勇者スキルの一つだよ、俺くらいになると普通のスキルだぞ」

「お兄ちゃんはやっぱり凄い勇者だよね」


 メイアの目がライトの魔法でキラキラと光っているが、完全に英雄を見ている目だなと感じた。


「それにしてもエド、さっきから何も考えないで進んでいるようだが、マッピングはしているのだろうな、迷うのは困るぞ」

「してないが大丈夫だから心配しないでくれ」


 普通はマッピングをしていく。

 ゲーム中なら方眼紙に書くとか、ゲーム内アイテムでもマーカーなるアイテムがあったけどフレイアが言っているのはマーカーの話だと思う。


 洞窟の中でライトの魔法効果が終わり、松明も燃え尽きれば真っ暗な洞窟で迷って出られなくなる事もあるので、フレイアはそのことを心配している訳だ。


「この方向で大丈夫だ」

「本当にエドは道を知っているのか?」

「勇者スキルだ、何となくわかるんだよ」


 まぁ何度もやったゲームだ。

 初期ダンジョンなんか松明がなくてもクリアできるし覚えている。


「凄いな勇者スキルって」

「お兄ちゃんはすごいのだ」


 洞窟の中での戦闘が何度も繰り返されるが、全員がクリティカルヒットを連発し、五体現われるモンスター達を一ターンで殲滅していく。

 しかも必ず先制攻撃コマンドを入れているので、攻撃される心配もない。


 やがて洞窟の中に松明の明かりが見えるようになると、若いドワーフが鍛冶仕事をしている所だ。


「ドワーフ爺さんは居るか?」


 俺が声を掛けると若いドワーフはこちらを険しい表情で見ていたのだった。

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