「ファセリア辺境伯はどういっているのかな？」

ガイム様は手を挙げてからこちらに質問をしてくる。

「ファセリア辺境伯からは戦況報告が来ています。どうやらあちらでもすでに戦闘は発生しているようですが、帝国の部隊を蹴散らしてどんどん攻め込んでいるようです」

「被害はどの程度だ？」

「継戦には問題のない範囲だとのことです」

「わかった。それで、これからの行動予定としてはどうなっているのかな？」

「これからの行動予定としては、まずエーデルワイス公爵家との交渉に入ります」

俺がそういうとまた集まっている代表たちがざわつく。それもそのはずだ。公爵家というのは皇帝の血が流れている皇族の分家という意味を持っている。そんな公爵家4つのうちアイリス公爵家がこちら側についたことですら奇跡に近いのに、さらにもうエーデルワイス公爵家も引き込もうとするのは望みすぎというものだろう。

「ただ、エーデルワイス公爵家に求めることは反乱への直接的な加担ではなく公爵家の今回の反乱での中立です」

「エーデルワイス公爵家が中立の立場となることでファセリア辺境伯と合流するための道を確保するということかい？」

「はい。ファセリア辺境伯との合流は帝都を落とすうえで絶対条件の一つです。早急に達成するべき目標です」

「なるほど。、、、それでエーデルワイス公爵家との交渉はうまくいくようなビジョンがあるのかい？」

「今の時点では何とも。正直に言ってエーデルワイス公爵家がどのような考えなのか、そして当主がどのような人物なのかも知りません」

「そうか。それなら自分からエーデルワイス公爵家について話そうか」

ガイム様とエーデルワイス公爵家はそこまで深いものではないが血のつながりがある。さらに公爵家が集まって話し合う会議なんかもあるということがうわさされているのでどういう人物なのか知っていてもおかしくない。

「現在、エーデルワイス公爵家はすでに断絶している」

「は？」

「受け入れることは難しいかもしれないが、これが真実だ」

いくら外に情報が流れていないとしてもひとつの公爵家が断絶するようなことがあればさすがに噂になる。さらに相応の立場である俺やカースにも知らないというのはさすがにおかしい。

「あそこの領では非常に弾圧的な政治がおこなわれていたそうだ。それが引き金となって領内の市民が暴動を起こし、それとの戦闘の最中で公爵家の者たちは死に絶えた」

「ありえない！それなら今はどのようにして運営されているのですか！」

「現在は帝国の直轄領として以前よりも厳しい監視のもとにある。そもそも例の暴動によって領民も相当減ったようだから名実ともに領として消滅したようだね」

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