第52話 sideガイム・アイリス 抵抗㉚
今後の憂いについて考えているといつの間にか指定されたポイントについていた。すでに地中海艦隊と第1遊撃艦隊は激しい砲撃戦を繰り広げていて双方に少なくない損害が出ているらしい。
そんななかのんきに考え事なんてしていることに少し罪悪感を感じるがこれも必要なことだ。
「ガイム様、作戦開始だそうです!」
「そうか。それならエミル君から送られてきた座標に移動するぞ。敵に遭遇してもいいように戦闘体制に移行しておいてくれ」
「了解です」
第2遊撃艦隊はエミルから送られてきた敵艦の座標へとむけて静かに進んでいく。
ここで俺たちが気を付けなければならないのは敵艦隊からはぐれたところにいる敵艦との遭遇と敵の航空機だ。
潜水艦は現在直前に起きた重大事故によって使用が中止されているのでここでは警戒しなくても大丈夫だろう。それに航空機も帝国の主要な航空基地のないここ周辺に飛来するとは考えにくい。
となると一番警戒すべきなのは敵艦との遭遇だろう。どこに敵艦がいるのかどうかは正直すべてはわからない。もちろん戦闘艦以外にも後方支援なんかの艦艇もあるはずで、それらにも見つかってはならないと考えると非常に骨を折れる。
ただ厳密に言えば見つかっていけないわけではない。敵の主力艦隊に伝えられる前にその艦艇を沈めてしまえば大丈夫だ。死人に口なし、そうするしかないだろう。
「司令官、前方に敵と思われる艦艇を発見」
「副砲を構えろ!一撃で仕留めるぞ」
ガイムの掛け声によって1門のの副砲が敵艦艇へとむけられる。そしてそこから放たれた砲弾は主砲よりもだいぶ小さいといえど敵の後方支援の艦艇を粉砕するには十分すぎる火力だ。まっすぐに飛んでいくその砲弾は敵艦艇の中央部に命中するとそのまま完全に粉砕して海の藻屑とした。
「砲弾、命中!敵艦撃沈です!」
「そのまま進んでいくぞ。敵艦隊の後方につくまではあと少しだ」
こうして第2遊撃艦隊の前に出てきた敵艦は悉く海の藻屑と化して道を譲ることになる。
そのまま誰も寄せ付けぬ強さで第2遊撃艦隊は敵艦隊の後ろにつけた。
「敵空母、捕捉です!」
「主砲の標準を合わせろ!無力化するぞ!」
主砲の標準が合うとすぐにガイムの命令によって砲弾は放たれる。
放たれた砲弾はまっすぐに飛んでいき、こちらに気づいていない敵空母の中央部へと突き刺さる。艦内で炸裂した炸薬によって敵空母は大きな煙を立てながら完全に無力化される。
それを確認するとすぐに残っていた主砲や、ほかの艦艇からもう1隻の空母へと砲弾が放たれる。
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