第49話 sideカエサル 抵抗㉗

結局カエサルは何度も出くわす反乱軍の部隊をどうにかして躱して命からがら第6歩兵師団の拠点へと戻った。


そこでは多くの師団員たちがあわただしく動いていて帝都防衛隊の制服を着ているカエサルのことを気にする余裕もないようだった。


「おい」


カエサルは近くにいた師団員を捕まえると師団長がいるところを聞く。


「師団長はどこにいる?」


「おそらく作戦本部があるテントの中かと」


師団員はそういうとすぐに忙しそうに走っていった。


おそらくここでも予想外の戦況を処理することができていないのだろう。


カエサルはいくつもの箇所が破れてしまった制服を着ながら師団長がいるらしいところへと向かう。


カエサルが例のテントの中に入るとそこでは多くの将校たちが各地から伝えられる悲惨な情報を処理しながらどうにかして状況を打開する策を考えていた。


将校たちはそれに熱中していてテントの中へと入った自分のことを気づいていないようだったが中にいた将校たちの補佐のような軍人がカエサルに気づく。


「こちらに何か用でしょうか?」


「帝都防衛隊隊長のカエサルだ」


「っ、、カエサル様ですか!お怪我は?」


「見ての通りだ。かすり傷はしたが重傷はない」


「それなら安心です。それで、、、帝都防衛隊の他の隊員はどちらに?」


「わからん」


「、、、それはどういうことでしょうか?」


「俺たちは塹壕の中で包囲された。それから抜け出すために必死に戦っていたらいつの間にか自分一人になっていた」


「、、、衛兵」


「はっ!」


「カエサル様を一時的に拘束してくれ」


「なっ、、、どういうことだ!」


カエサルが大声を出したことでようやく作戦の立案に熱中していた将校たちもカエサルの存在に気づく。


「カエサル様、帝国では勝手に撤退した個人には大きなバツが与えられる可能性があります。たとえ敵に包囲されていたとしても、大きなけがを負っていなければそれも同様です」


「っ、、!俺はサンバール公爵家のカエサルだぞ!公爵家に盾突こうというのか!」


「規則ですので」


衛兵はそういうと暴れるカエサルを押さえつけて拘束する。


「不敬だぞ!師団長!」


「軍では軍のルールに従ってもらいます。そうじゃないと示しがつきませんからね」


カエサルは大声をあげてわめきながら衛兵たちに引きずられて簡易的な牢へと放り込まれた。


カエサルがいなくなった作戦本部ではまるでカエサルのことなどなかったかのようにすぐに元の仕事へと戻っていく。


ここは戦場なのだ。たとえ味方だとしても油断はしてはならない。カエサルは味方のことを信用しすぎていたのかもしれない。

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