第47話 sideカエサル 抵抗㉕
副官が頭を吹き飛ばされていることを確認したカエサルはそのまま戦意を失ってどうやってここから脱出していくかということを考え始める。
すでに戦闘は周囲へと波及していっていて今はカエサルの周辺、どこを見ても戦闘しているような状況になってしまっている。
さらにカエサルから見ることはできないので気づいていていないが、カエサルたち以外の場所でも戦闘は勃発しており、敵の塹壕内に侵入した部隊が丸々包囲されるような状況になってしまっている。頼みの綱であった戦車部隊も包囲の外で反乱軍の戦車によって攻撃を受けて破壊されて行ってしまっていて脱出するのは至難の業だ。
ただカエサルはあきらめない。非常に屈辱的ではあるが、幸いにもここは塹壕の中だ。敵部隊と戦闘中であっても包囲の外へとつながっている塹壕はどこかにある。
本当ならば副官であったりほかの帝都防衛隊隊員たちと逃げたかったが今はそんな状況ではない。それに人数が少ないほうが隠密行動で包囲から抜け出すことは容易になるはずだ。
誰にも気づかれないうちにカエサルはその場から離脱すると塹壕を進んで包囲の外を目指す。
カエサルは先ほどの戦闘で自分の戦闘技術では正面から反乱軍とやりあった場合勝てないことに本能的に気づいている。そのためカエサルは塹壕の中で敵に合わないように慎重になりながら進んでいく。
できるだけ気配を消しながら動いているカエサルは幸運にも反乱軍の部隊と接敵することもなく来た道を戻っていくことができた。ただここからはそうもいかない。塹壕の中は入り組んでいることもあって作った反乱軍側もすべてを把握しておくことはできない。ただ塹壕の外に出れば話は変わる。塹壕の外は平原となっているため森に入るまでは遠くからでも見渡すことができる。
さらに帝都防衛隊の隊服は戦闘には不向きなほど派手で目立ってしまう。間違いなく戦闘を回避することは不可能だ。しかも周辺に展開しているのは反乱軍の通常の歩兵ではない。歩兵戦闘車とその随伴歩兵たちだ。
通常の歩兵ならまだどうにか勝機はあったが歩兵戦闘車相手はどうにもできない。
こうなればもうできることは近くに存在している森に駆け込むしかない。もちろんそれができるかどうかは運しだいだ。
カエサルは覚悟を決めると塹壕から飛び出て近くに見えていた森へと駆け込んでいく。後ろからカエサルが逃走をしたことに気づいた反乱軍の兵士たちが撃ってくる。
しかし、銃弾は奇跡的にも体をかすめるだけで当たることはなくそのまま森へと駆け込むことができた。
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