第46話 sideカエサル 抵抗㉔
カエサル達は塹壕の中を進んでいき反乱軍がいるであろうところに向かっていく。
周辺には第6師団や帝都防衛隊傘下の部隊が展開しており、敵の気配というのを感じることすらない。
いたるとこに死体が落ちているがそれも結局はものを言わなくなったただの肉塊である。もちろんはじめはうろたえたがだんだんとそれに慣れると全く持って恐怖を感じるということはなくなってきた。
「カエサル様、どうやら敵は相当奥まで引いたようです。いまだにどの部隊も敵と接敵していません」
「そうか。やはりエミルは所詮腰抜けの反逆者だな」
カエサルがそう言うと部隊内から笑いが起こる。ここが戦場だということを忘れているのか中には銃を構えることもせずに肩に担いで仲間と談笑しているものまでいた。
その時少し遠いところで銃声が響き始めた。
「なっ、なんだ?」
「わかりません。もしかしたら戦闘が始まったのかもしれません」
「よし、それなら俺たちも敵がいるとこに向かって敵を仕留めようじゃないか」
カエサルがそう言うと帝都防衛隊の面々はまるで鹿狩りに行くときのようにそこへ向かっていく。自分たちが負けることを全く考えていないそれは自信ではなく楽観からくるただの怠慢だ。
カエサルが銃声のしたところに向かうとそこでは多くの反乱軍が第6師団の部隊を攻撃していた。
もちろん第6師団の部隊もそれぞれが反撃してどうにか敵を押し返そうとしていいるが、人数差が大きすぎる。そのままどうにもできずに次々と撃たれていく。
「突撃だ!」
カエサルはそんな戦場にわざわざ近づいて攻撃を始める。
突然カエサル達の部隊が出てきたことで反乱軍は一瞬固まるが彼らも帝国の正規の兵士たちだ。訓練もよくされているし戦場だって何回も経験している。
すぐに立て直すと反撃が始まる。
帝都防衛隊の面々は銃を向けられるなんてことも実際に撃たれるなんてことも経験したことがない。そのまま撃ちあうということもできずに一方的に攻撃されてしまう。
「おい!どうするんだ!」
カエサルがそう大声を張り上げるが答えるものはいない。
それを不自然に思いカエサルが後ろを振り返るとそこには頭の一部が吹き飛んでしまい、力なく倒れている副官の体があった。
「なっ、、、!」
理解はしているつもりだった。戦場の残酷さのことを完全に把握しているつもりだった。
だが実際には全くそんなことはなかったのだ。英雄談として語られるものは戦場には存在しない。そんなキラキラと輝くものではなくまるでこちらを吸い込んでくるような漆黒が渦巻くのが戦場というものなのだ。
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