第43話 抵抗㉑

魚雷はこちらの艦尾に向かって放たれており、当たったらひとたまりもないということでどうにかして魚雷をよける。


幸いにもあまり速度が速い魚雷ではなかったのでどうにかしてよけることができる。


しかし、魚雷がこういった密集している艦隊にとって強力な攻撃になるのはこれからだ。俺たちがよけたことによって後ろにいた重巡洋艦コバルトに魚雷が直撃することになってしまった。


いくつかの魚雷を一気に食らったコバルトは船底に大きな穴をあけられることになってしまい急速に沈んでいく。


「魚雷、重巡洋艦コバルトに命中です!」


「っ、、、後ろにいる軽巡に救助に向かわせろ!俺たちはもう1隻の空母も仕留めるぞ!全砲塔敵空母に標準を合わせろ!」


「すでに完了しています!」


「撃てっ!」


放たれた砲弾はまっすぐに敵空母へと向かっていく。しかし、いかんせん距離が遠すぎる。砲弾はばらけてしまい、2発の砲弾以外はすべて海面に着弾してしまった。


さらに空母に当たった2つの砲弾も空母の側面にかするようにして当たったのであまり大きな被害は出ていないと想定できる。


「砲弾、命中しました!」


「被害は?」


「砲弾はかすった程度でしか当たっていません。被害は軽微かと」


「敵空母、こちらに砲塔の標準を合わせています!」


「っ、、回避だ!」


そういって船を転舵しようとした瞬間、遠くから大きな爆音が聞こえてきた。


「どうした!?」


「敵空母にて爆発です!それによって敵艦の被害は甚大な模様!」


敵空母をガラス越しに見てみるとそこには大きな煙を艦の中央から上げて完全に止まってしまっている敵空母の姿が見えた。


そしてその奥には小さな陰でしか見えないが大きな艦隊がいるように見える。


「第2遊撃艦隊です!第2遊撃艦隊が敵空母を後ろから攻撃しました!」


その報告があってからすぐに今度は飛行甲板が生きていたほうの空母も爆発を起こす。


「いまのうちに敵を完全に仕留めるぞ!」


俺たちは攻撃手段がなくなり丸裸になった敵空母に肉薄していくとそのまま砲弾を叩き込む。俺たちの艦隊と第2遊撃艦隊から多くの砲撃を受けた敵空母は2隻ともすぐに海の藻屑へと化した。


そしてそれは今回の海戦の状況を大きく動かす。各地で突撃をしていた地中海艦隊所属の艦たちだったが最初の勢いは失ってしまっていた。というのも突撃作戦では敵の陣地に突っ込んでいくため行けば行くほど敵は大きなるのに味方は少なくなるという事態になってしまっていた。


しかし、敵艦隊に空母2隻撃沈の報告が入ったことによって敵艦隊は怖気づいてしまう。


これによって勢いを失いつつあった地中海艦隊は息を吹き返し、そのまま敵を撤退させるまで至った。

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