第39話 抵抗⑱

それぞれの艦から放たれた砲弾はそれぞれの目標へとまっすぐ向かっていく。


とはいえ、砲弾が当たれば確実に仕留めることができるわけでもない。軽い損傷ですんでしまうような艦もあるし、何なら過貫通でほとんど被害が出ない場合もある。


とはいえ、当たる母数が多ければ撃沈数も増える。一斉に砲撃された艦のうちおよそ3割の艦は相当の被害が出ているように見える。


俺たちが砲撃した艦もそうだ。俺たちからの砲撃を受けた巡洋艦は大きな煙を上げながら後退しようとする。


しかし、それを逃がすようなことはしない。少々時間がたった後、装填が終わった砲から敵艦へ砲撃をする。


その砲弾はまっすぐに敵へと進んでいくと艦中央部へと直撃する。その瞬間、大きな爆発が巡洋艦を襲いそのまま沈んでいった。


俺たちがそのまま進んでいくとそこには先ほど撃ちあった敵戦艦クラウンノーチが鎮座していた。クラウンノーチは砲塔を回転させてこちらに標準を合わせようとする。


「面舵いっぱい!敵砲弾の着弾地点からずれるぞ!」


俺たちは転舵して敵戦艦が狙おうとしている場所からずれる。それに一歩遅れるような形で敵戦艦から放たれた砲弾は俺たちの艦をかすめるようにして海面に着弾した。


「全砲塔敵戦艦に標準を合わせろ!」


敵艦からの砲弾をよけきってからすぐに俺たちは砲塔を敵に合わせる。


「準備完了です!」


「放て!」


俺たちが放った砲弾は先ほど当てた艦前部にまっすぐに進んでいく。


クラウンノーチはどうにかしてそれをよけようとするが間に合わない。1発の砲弾が先ほどあった部分の近くに直撃する。


普段ならその程度の衝撃で大破することがないようにクラウンノーチは設計されている。しかし、運悪くそこは先ほど被弾したところにほど近い場所だった。もともと先ほどの損傷で弱っているところに直撃した砲弾はそのまま敵艦の全部を大きく破壊する。


クラウンノーチはその損傷によって大きくバランスをくずことになった。ぎりぎり航行をすることはできているがあと一撃どこかにもらったらもうどうしようもない。


そのままクラウンノーチは後方へと下がっていこうとする。


「敵クラウンノーチ大破!敵艦下がっていきます!」


その時、大きなエンジン音とともに雷撃機の編隊が上空から降りてくる。


そのまま大破して後退しようとしているクラウンノーチに向けていくつかの機体が魚雷を発射する。


クラウンノーチはそれを察知するとどうにかしてそれをよけようとする。しかし、雷撃機はそれを許さない。先ほど魚雷を落とさなかった機体がそのままクラウンノーチの側面に回ると魚雷を落とす。

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