第36話 抵抗⑮
引く連れてきた駆逐艦や巡洋艦とともに前線から遠ざかっていく。幸いにも敵航空機はどうやら味方航空機との戦闘で精いっぱいのようでこちらに爆撃はしかけてこない。正直今の状態で爆撃を受けると沈没する可能性も高い。
「ほかの場所はどうなっている?」
「我々のところ以外でもほとんどの箇所が敵を押し込んでいます。ただ、被害は相当あるようですでに重巡洋艦を含めた前衛艦が多数撃沈されているようです」
「わかった。グランパスとアイレックスはどうなっている?」
グランパスとアイレックスは俺たちが乗っているアンバージャックと同型艦の戦艦だ。一応装備はアンバージャックと変わらないが若干アンバージャックよりも小さく作られている。
「グランパスは後方で空母などの護衛に入っているようで、まだ戦闘はしていません。アイレックスは戦場の中心に近いところで戦っているようでいくつかの損傷があることが予測できます」
「わかった。それならグランパスは護衛から外して前線に行かせてくれ。そこの護衛には重巡を2隻ほかのところから引っ張ってくる」
「了解です」
今の戦況は俺たちが若干敵を押し込んではいるが、こちらも相当数の被害が出ているためまだ何とも言えない。俺たちが位置している戦場の一番左側の海域では相当敵を押し込むことができているが右側の海域ではところどころ押し込まれているところさえある。
ただ海戦で圧倒的に勝利するというのは難しい。結局数が大きなアドバンテージとなる海戦では同じ戦力で戦うと痛いわけのような形になることが多いのだ。
「第2遊撃艦隊所属の艦隊はどうなっている?」
「現在戦場から少し離れた海域を通って移動中です。あと少ししたら予定の海域につくかと」
「わかった。彼らが配置についたら教えてくれ」
「了解です」
俺たちはそのまま前線から離れていき後方で艦の応急処置を行う。こういう時に備えて修理ができるような専門的な知識を持っている職員とある程度の資材は載せてある。
「修理はできそうか?」
「完璧にするのは不可能ですね。特に大規模な火災が起きた艦後方部の損傷は非常に大きいです。正直、装甲も火災の影響によって相当弱ってしまっていて修理をいましたとしてもこのまま戦闘に参加し続けるのは危険です」
「それは重々承知だ。できる限りでいいから直してくれ」
「わかりました。できる限りはやってみます。ただ期待しないでくださいね」
「わかっている」
そういって修理ができる職員は破損個所へと向かって歩いていった。
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