第31話 抵抗⑩
こちらに向かってくる敵爆撃機を艦隊の先頭に位置している駆逐艦の対空砲が迎え撃つ。艦上から放たれる対空砲は次々に爆撃機を撃ち落としていき、海上には敵機が墜落していく。
そして空母が爆撃機を発艦させてから少しすると次は砲撃戦が始まる。敵艦が射程に入った艦から次々と砲弾を発射していく。それと同時に俺たち艦隊は散開していくつかの集団に分かれる。
散開すると前方にいた巡洋艦から敵へ向けて魚雷が次々に海に投下されていく。
船同士の打ち合いというのは基本的に一発目の砲弾が直撃することはない。
一発目が目標から外れたところに着弾するのを見て修正していく。そして装填が完了した艦から次弾を次々に発射していくというのが定石だ。
その時こちらの重巡洋艦が放った砲弾が敵の駆逐艦の後方に直撃する。
「敵駆逐艦速力低下!機関部が破損したと予想!」
「その駆逐艦は重巡に任せる。俺たちは敵の重巡を狙うぞ!」
俺に号令に合わせて砲塔を敵重巡がいるほうに回して標準を合わせる。そして一呼吸おいてから砲弾を放つ。
俺たち戦艦が放った砲弾はまっすぐに敵重巡に進んでいく。しかし、直前で敵重巡が回避行動をとり、転舵したため至近弾で終わる。
そして今度は敵重巡がこちらに砲弾を放ってくる。
「敵重巡、砲弾を発射!命中コースです!」
「面舵いっぱい!命中コースから外れるぞ!装填が終わり次第1番砲塔発射だ!2番砲塔3番砲塔は敵艦が1番砲塔の砲弾を回避した瞬間に撃て!」
命令のあとすぐに船が面舵をとって命中コースをよける。するとすぐに近くで砲弾が落ちたような衝撃と音が聞こえてくる。
少しでも転舵が遅れていたら直撃していたことになっていただろう。砲弾を躱しきってからすぐに1番砲塔を発射する。
敵は俺たちが放った砲弾をよけるために手前側に転舵する。しかし、敵がそうやって動いた瞬間に2番砲塔、3番砲塔を敵がよけようとして動いた場所に撃ち込む。
敵は慌てたように艦を転舵して躱そうとするが躱しきれず、艦後方に着弾する。
アンバージャック級戦艦の主砲である38センチ砲が直撃した敵重巡洋艦は炎を上げながらだんだんと動きを止める。
俺たちはそこにとどめを刺すように主砲を打ち込む。どうすることもできない敵重巡洋艦に砲弾は無情にも突き刺さる。
艦中央に直撃した砲弾はそのまま敵重巡洋艦の弾薬庫に直撃する。
砲弾によって弾薬庫が誘爆した敵重巡洋艦はそのまま艦を真っ二つに割られるようにしながら暗い海の底に沈んでいった。
「敵重巡を撃破!」
オペレーターの声に艦内で歓声が上がる。
「近くにほかの敵は?」
「駆逐艦が数隻います!」
「よし、そいつらを仕留めに行くぞ」
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