第30話 抵抗⑨
それから数日間は特に何も起こらない日々が続いた。もちろん俺やカースなどの幹部はこれからの作戦についていろいろ詰めたり様々なところから入ってきた情報なんかを整理していくがそれは日常だ。
そしてついにアイリス公爵家、そして第2遊撃艦隊が合流する。
といってもイズミルの港がいくら大きいといえど第2遊撃艦隊の全艦隊を停泊させておくことは不可能だ。ということで、イズミルに来るのは第2遊撃艦隊の中でもいくつかの戦艦を中心とした打撃軍のみ。
残りの艦隊はイスタンブールを中心にして行動をしてもらう。
「数日ぶりだな。エミル君の活躍はこちらでも聞いているよ」
「ガイム様もお元気そうで何よりです」
そしてイスタンブールから来た艦隊の司令官として以前の交渉の際もここに来たガイム様が赴任した。正確に言えば彼は軍人ではないので形式上の司令官は別の人物となっているが事実上の司令官であることに変わりはない。
「それでこれからの展望はどうなっているのかな?」
「前回の戦闘によって敵師団は大きな損害を被りました。おそらくしばらくの間は敵が陸で攻めてくることはないかと」
「となると次は海の番ということかな」
「えぇ、順当にいけばそうなるでしょう」
俺がそう言ったとき基地内に大きなサイレンの音が響き渡る。
「いった傍からでしたね」
「今回の戦いで初の出番だ。腕が鳴るよ」
俺はガイム様とともに基地内にある指令室に入る。そこではピョートルをはじめとした海軍提督たちが集合していた。
「それで今の状況は?」
「ポズシャ島沖に敵艦隊を観測しました。規模としては戦艦2隻、空母3隻、その他多数とのことです!」
ポズシャ島というのはイズミルから北西に50キロのところにある小さな島だ。イズミルとイスタンブールの間にあることでリゾート地として栄えている。
「了解だ。全艦に出撃命令だ!敵艦隊を完全に沈める!」
「了解です!」
海軍提督たちはそれを聞くとそれぞれ自分の乗る艦に向かって走っていく。俺も自分が乗るアンバージャック級戦艦一番艦アンバージャックに向かう。
そして出港準備ができた艦からどんどん出港していく。イズミル沖で事前に決められた艦と艦隊を組むとそのまま移動する。
そしてイズミルから20キロほどの海域でついに敵艦隊を捕捉するに至った。敵艦隊を細測するとともにマンドレイク級空母から爆撃機の編隊を次々に発艦させていく。
こちらがそうしたように敵の空母からも次々の爆撃機が発艦してこちらへと向かってくる。
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