第27話 抵抗⑥ side第8機械化歩兵師団

鬱蒼とした森の中に入ったことで後続の戦車が視界にとらえることが難しくなる。ただ前方にはまだ逃走している敵部隊が見えるのでそれを追うように俺たちは鬱蒼とした森の奥へとさらに進んでいく。


鬱蒼とした森を進んでいくとなぜか通信が悪くなってくる。もしかしたら生い茂っている木々が通信の障害となっているのかもしれない。少し不便ではあるが特に気にもせずさらに進んでいく。


「車長、さすがに本来いるべきはずの場所から外れすぎました。ここらへんで帰りましょう」


「あぁ、そうだな。敵もほとんどを殲滅することができた。ロード、反転して本陣に帰るぞ」


「了解です」


ロードは生い茂っている木々をかき分けながらも戦車を反転させてきた道を戻ろうとする。しかし、その時大きな衝撃が戦車を襲う。


「どうした!?全員無事か?」


「はい!自分は大丈夫です」


「自分も大丈夫です!」


「パトリックはどうした?」


車長がそう聞くもパトリックからの返事はない。実際に確認するために車長がパトリックがいるはずの戦車の上にある銃座に向かう。


戦車の外からガタガタと何かを動かすような音が聞こえてから少しすると妙に真剣で悲壮感の漂う顔をした車長が帰ってきた。


「パトリックは何してました?」


「…こうだよ」


そういって車長は床に何かを置く。


俺は潜望鏡から目を離してそちらを見る。そこには上半身が完全になくなってしまっている血まみれの下半身が置いてあった。


「は?」


「これが戦車上部に残されていた。状況から考えるにパトリックの一部だろう」


「そんなっ、、、」


「とにかく周囲を警戒だ!戦車を破壊しうる敵がいるぞ!」


俺はパトリックのことを引き釣りながらも潜望鏡を覗いて索敵にシフトする。


「右45度に敵影!」


見つけた敵の方向に急いで砲塔を回して標準を定める。


俺が放った砲弾はそのまままっすぐに進んでいくと敵影があった場所に直撃する。しかし、今度は後ろ側から大きな衝撃を感じる。


「被害は!?」


「車体左側のキャタピラに被弾!これは…走行不能です!」


「っ、、とにかく撃ってきた敵を仕留めるぞ!」


「了解」


俺は急いで砲塔を左側に回して敵を捉える。そのまま標準を合わせて砲弾を放つ。角度もよかったので放った砲弾はそのまま装甲を貫通して敵歩兵戦闘車を木っ端みじんにする。


とりあえず攻撃してきた歩兵戦闘車を撃破したことに安堵したのもつかの間にどこからか飛んできた3発目の砲弾が戦車右側の装甲を撃ち抜く。運の悪いことに砲弾はそのまま弾薬庫に直撃。


誘爆によって戦車全体が火に包まれる。


俺は真っ赤に燃えている戦車内部を見ながらそのまま意識を失った。

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