第26話 抵抗⑤ side第8機械化歩兵師団

慌てて出てきた歩兵を今度は銃座にいるパトリックが始末し始める。どうにかして射線が切れるような場所に隠れようとしているが、機関銃は大体のものは貫くことができる。


1分後には生きている敵歩兵は完全に消滅していた。


「よし、それじゃ警戒しながら前に進んでいくぞ」


車長の号令に従って敵前線の後ろを目指してまた進んでいく。いくつかの敵歩兵部隊とは接敵したがどれも戦車の敵にはならない。簡単に蹴散らしていきながら目標の地点まで進んでいく。


目標の地点に近づいていくとだんだんと緊張感が漂ってくる。様々な戦闘に参加してきたがこれほど戦局を左右する可能性のある配置になったことはない。


その場所からさらに進んで行くと敵歩兵がちらちらと見えるような位置になってくる。ただそのような細かな歩兵は周辺に展開している随伴歩兵たちが片づけてくれる。


俺たちは茂みをかき分けながら目標の地点まで向かう。


進んでいくとふっと開けた場所に出る。そこには敵歩兵戦闘車を中心とした敵歩兵部隊が展開していた。俺たちは即座に目の前にある歩兵戦闘車に砲弾を叩き込む。


至近距離から砲弾を食らった敵歩兵戦闘車は大きな音を立てながら爆発し粉々になる。敵は突然現れた戦車に慌てながらも迎撃態勢を整えようとしている。


しかし、それは後続の戦車たちが許さない。俺たちが砲弾を新たに装填している間にも後続の戦車が次々と砲弾を放つ。


それらは敵歩兵戦闘車や敵歩兵に直撃して部隊を一気に半壊状態までもっていく。残った敵はいくつかの歩兵戦闘車の銃座に敵が乗り込みこちらを機関銃で撃ってくる。


しかし、それは戦車の装甲にはじかれて甲高い音を鳴らすだけに終わる。


そうやって敵が無意味な攻撃をしている間にも俺たちは装填を終わらせ、目障りな攻撃をしてくる敵歩兵戦闘車の一つを爆散させる。


そして次々に装填が終わった味方の戦車たちが敵歩兵戦闘車たちを弾き飛ばしていく。そうなって敵は戦意を失ってしまったようだ。次々と戦場から逃げ出していく。


しかし、これを逃がしてしまえばどこかで俺たちの仲間を殺してしまう要因の一つになってしまうかもしれない。逃げる歩兵隊の背を追いながらパトリックがその背に機関銃を打ち込む。


「車長、このまま敵歩兵を追いますか?」


「あぁ、そうしてくれ。ほかの敵歩兵戦闘車には他の戦車師団が向かっている。俺たちはこの敵部隊を粉砕するのが仕事だ」


「了解」


俺たちはそのまま敵地深くまで歩兵たちを追いかける。敵歩兵は森のほうに逃げているようでだんだんと周りが鬱蒼としてくる。

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