第15話 反旗⑮
カースに電報を送ってから一日。いまだに返事はない。あいつのことだから指令室でおとなしく作業しているようにも思えないので、もしかしたらまだ話が伝わっていないのかもしれないが少し不安になる。
正直に言って今回の作戦での地上戦ではカースとその麾下の部隊がいなければ話にならない。
ただ今味方にいない部隊を当てにしていてもどうにもならない。俺はカースからの返答を待ちながらも今できる海軍の編成や装備などを考える。
その時俺が作業している部屋にノックもせずに一人の部隊長が焦った様子で入ってくる。
「どうした?」
「北東部に陸軍部隊が展開しております!敵の規模は3師団以上はあるとのこと!」
「なっ…わかった。今はこちらはどうなってる?」
「現在、教育中の部隊を含めた4大隊を前線に展開中です!ジェンティアナ侯爵家とシャラパール伯爵家の援軍もこちらに向かっているとのこと!」
「わかった。俺も前線近くに向かおう。ヘリコプターを用意してくれ」
「了解です。5分後には用意できるはずです」
「頼んだ」
まさかこんなに早く陸軍が動き出すとは思わなかった。イズミル北東部というと内陸部になっていて海軍の助力というのは期待できない。一応、航空部隊は海軍にも存在しているが対地攻撃をするような装備を有しているのは空軍だけだ。
とはいえ、ここで敵を食い止めることができなければこのまま負けてしまう。最悪領内への侵入は許してもここイズミルへの進軍だけは阻止しなければならない。
とにかく俺は用意されたヘリコプターに乗って領内の北東部に向かう。アカル侯爵家は領地の大きさで言うとそこまで大きいわけではないのですぐに前線付近まで到着する。
ヘリコプターから見た限り敵は機械化歩兵師団なんかもあるような本格的な部隊だった。もしかしたら援軍が来るまで耐えることですら難しいかもしれない。
ヘリポートにたどり着きヘリコプターから降りると周囲では多くの兵士たちが忙しそうに走り回っていた。すでに敵はすぐにでも戦闘できる体制になっているのに対し、こちらは迎え撃つ体制すら構築できていない。
やはりここは捨ててさらに奥に防衛線を張るべきかもしれない。
「こちらです」
ヘリに同乗していた部隊長から指令室へと案内される。俺が中に入るとそこではすでに複数名の職員が情報をホワイトボードに書いてまとめていた。
「説明頼めるか?」
俺は近くにいた職員にそう聞く。
「はい、端的に言うとすでに状況は最悪です。敵は第3歩兵師団、第4歩兵師団などを中心とした師団で規模は4万ほどだと思われます」
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