第17話:姉弟?
「よし。これでようやく、本題に入れるな」
「すまんのぅ。ワシが来たことで余計な時間を取らせてしまった」
「いや、逆だぞ。ブロンが来てくれたから、このぐらいで済んだんだ。こいつ1人だったら、何も進展しなかった可能性すら、ある」
「うっ……………ごめん」
「そこは否定してくれ。お前、一応俺より歳上なんだぞ」
「だって……………」
「"だって"なんて言い訳をするな。お前はまず、その甘ったれた精神から変えていく必要があるな」
「……………」
「まぁ、俺はお前がどこでどうなろうと知ったことではないが」
「っ!?そ、そんな冷たいこと言わないでよ!ぼくらは姉弟じゃないか!!」
「義理のな。それにお前は書類上、ブロンの娘となっているかもしれないが、俺は違う………………俺が勝手にブロンを父親だと思っているだけだ」
そこで一瞬、悲しそうな顔をするシンヤ。それを見たビオラは思わず、顔を赤くした。ここまででシンヤのおおよその性格を理解していたビオラはこのギャップに対し、自身の心臓の鼓動が早くなっているのを感じていた。ビオラは自分で言った通り、血の繋がりがあろうが、なかろうがブロンを父とし、自身がその娘であるという絶対的な自信がある。だが、それは書類上で認められた公式の親子関係であるということと少なくとも家を出るまでの18年間を娘として育ててもらったという事実……………この2点が彼女の心の中に常にあったからである。しかし、シンヤは違う。書類上の関係はおろか、ブロンと過ごした時間もビオラに比べれば圧倒的に少ないのだ。
「……………シンヤっ!!」
「……………は?」
すると、ビオラは俯くシンヤを見ているうちに何故か、居ても立っても居られなくなり、思わず身を乗り出してシンヤを抱き締めていた。
「大丈夫だから!そこまで悩まなくても!ブロンはちゃんとあなたの父親だし、ぼくもあなたの姉ちゃんだから!だから、これからは一緒に……………ふぎぃっ!?」
ところが、シンヤは言葉の途中でビオラの頭を叩いて、彼女を突き放した。
「何勝手に勘違いして同情してやがる。別に俺は悩んでねぇよ」
「へ?」
「確かにお前らの関係を目の当たりにして、色々と思うことはあったが、それはそれだ。俺には何の関係もない……………なんせ、親子としての過去がないのなら、これから、時間をかけてゆっくりと作っていけばいいんだからな」
「シンヤ……………」
ビオラはこの時、誤解していたことに気が付いた。シンヤ・モリタニの人としてのキャパシティを、スケールの大きさを、そして何より……………
「シンヤさん、この女狐殺っちゃっていいですか?」
「賛成アル。ぽっと出の女がいきなり、馴れ馴れしい態度・名前呼び、さらには熱い抱擁…………こんな役満ないアルよ」
シンヤのそばに控える2人が彼の妻であるということ、そして、その危険性を。
「ひぃっ!?す、すみません!!調子に乗りました!!」
「落ち着け、お前ら。これ以上、話が進まないのは面倒臭い」
俺はそこで一旦、言葉を区切ると今度こそ、核心に迫る発言をした。
「じゃあ、満を持して訊こう……………お前が今日ここに来た理由は一体何だ?」
「っ!?それは………………」
俺のその言葉を受けて、しばらく黙り込んだままだったビオラは意を決した様子でゆっくりとこう言った。
「ここに"
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