第289話 挫折

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シャウロフスキー

性別:男 種族:魔族(黒山羊種) 年齢:10歳


Lv 30

HP 1000/1000

MP 1000/1000

ATK 789

DEF 632

AGI 512

INT 849

LUK 777


固有スキル

破拳・蹴落・魔拳闘・商才・金剛・火事場の馬鹿力・状態異常軽減・不屈の闘志・???


武技スキル

体術 :Lv.5

剣術 :Lv.3

短剣術:Lv.3

槍術 :Lv.3

棍術 :Lv.3

棒術 :Lv.3

斧術 :Lv.3

鎌術 :Lv.3

鞭術 :Lv.3

杖術 :Lv.3

盾術 :Lv.3

弓術 :Lv.3


魔法

火魔法 :Lv.4

水魔法 :Lv.4

土魔法 :Lv.3

風魔法 :Lv.3

氷魔法 :Lv.2

雷魔法 :Lv.2

無魔法 :Lv.5


称号

逆神の加護・憧れる者・負けず嫌い・抗う者・格闘家・正義感に溢れる者


装備

黒龍のマント(中級)

黒龍のグローブ(上級)


――――――――――――――――――――



「まさか、あなたが魔剣を持っているとは……………」


「これ、綺麗でしょ?苦労して手に入れたのよ」


「幽閉山に登ったんですか?」


「ええ。あそこは沢山の魔物が行く手を阻んでくるでしょ?だから、自ら進んで登る者はほとんどいないわ。でも、私には特殊な固有スキルがあって、あまり魔物が近寄ってこないから登ることができたのよ。まぁ、とはいっても最低限の戦闘はあったけど」


「くそっ!あともう少し早く登っていれば、僕が先に魔剣を手に入れられたのに!」


「登る?それは聞き捨てならないわね。あそこは魔族領の中でも屈指の危険地帯よ。AランクやBランクの魔物がゴロゴロいて、頂上付近に至ってはSランクの魔物が徘徊しているわ。そんなところを坊やみたいなのが登れる訳ないじゃない」


「ふんっ!あなたは知らないでしょうが世界にはとんでもなく強い人達がいるんです!その人達にかかれば幽閉山なんて楽勝ですよ!なんせ、たった2時間程で頂上まで行ってしまうくらいですから」


「それが本当なら、その人達はとんでもない化け物ね。私のように特殊なスキルを使わないのであれば、尚更ね……………まぁ十中八九、法螺話でしょうけど」


「う、嘘じゃないですよ!本当のことです!」


「真相などどちらでもいいわ。それよりも私と戦うのはあなたなんでしょう?他人の強さで威張っている場合?」


「ぐっ…………」


「くだらない話をしている暇があったら、この魔剣の力を肌で感じなさい」


魔王はそう言うと魔剣に魔力を込め出した。すると徐々にどす黒さが増し、触れてもいないのにシャウロフスキーは肌がピリピリするような感触を覚えた。


「くっ…………これはまた」


「はぁっ!"黒蝕波"!!」


「うわぁ!?」


魔王は試しとばかりに片手で魔剣を振るい、黒い魔力の斬撃を放った。シャウロフスキーがそれを間一髪で避けられたのは幸運以外の何物でもない。実際に目で魔王の動きを捉えることができず、出鱈目にジャンプした結果、たまたま避けることに成功しただけなのだから…………ところが


「やるじゃない。でも、これはどう?"黒蝕斬"」


「っ!?"魔硬拳"!!」


避けた先に現れた魔王がシャウロフスキー目掛けて、魔剣を振り下ろしてきた。この予期せぬ事態にシャウロフスキーは一瞬驚いて硬直しかけたが咄嗟に腕をクロスして、どうにか魔力を纏わせた。


「ぐうぅっ!」


「はっ!」


結果、何とか防ぐことはできた。しかし…………


「っ!?"柳化頸"!!」


魔剣に触れている部分が徐々に溶け出し、身に付けていたグローブに穴が開き始めてしまったのだ。これには流石にそのまま素肌を触れさせる訳にはいかないと感じたシャウロフスキーは咄嗟に攻撃を受け流し、魔剣の切っ先が地面に当たるようにして、自身はその隙に後ろへと大きく下がった。


「っと!やるわね」


「はぁ、はぁ、はぁ」


終始余裕そうな魔王に褒められたシャウロフスキーだが言い返す気力もないのか、その場で膝に手をついて立っていた。そんな中、ふと自分のグローブが目に入り、見てみるとなんと上半分が溶けてなくなってしまっていて、それはもうこれ以上使い物にならないことを表していた。


「はぁ…………はぁ………………くっ」


対する魔王は本気を出す気がないのか、小手調べ程度の力しか出しておらず、魔剣を軽々と担いで余裕の笑みを浮かべていた。シャウロフスキーはそれが気に入らないらしく、普段は感じることのない苛立ちを覚えた。


「不満そうな顔ね。おそらく、私が本気を出していないことが気に食わないんでしょうけど、それは仕方ないわ。だって、あなた弱いんだもの」


「っ!?くそっ!」


「これ以上はやめておきなさい。少しの怪我じゃ済まなくなるわよ?」


再び動き出そうとしたシャウロフスキーを制するように言う魔王。そこにはどこか身を案じる様子が窺えた。


「あなた、本当に魔王なんですか?僕が聞いた魔王の人物像とはとてもじゃないが一致しないんですが…………」


「……………」


「まぁ、あなたがどんなつもりだろうと僕のやることは変わりません!全力で魔王あなたを倒しにかかるだけです!」


「そう…………」


シャウロフスキーは逃げるつもりがないことを伝え、そこから一気に駆け出した。一方の魔王は一歩も動かず、ただただその場でシャウロフスキーの攻撃を迎え撃った。


「"魔拳狼"!!」


「"黒蝕斬"!」


結果、真っ向から両者がぶつかり合い、軍配が上がったのは…………魔王の方だった。


「ぐああああっ〜〜!」


迫り来る拳を軽々と避けた魔王はその勢いのまま魔剣を振るい、シャウロフスキーの右腕を半ばから切断した。すると一気に体勢を崩したシャウロフスキーは倒れ込み、痛みによって地面をのたうち回った。


「だから言ったじゃない。やめておきなさいと」


「ぐううっ…………どうして………………あんなに修行をしたのに」


「そんなの1つしかないわ……………あなたが私より弱いからよ」


「うううっ………………痛いよぉ……………」


「腕を1本失ったぐらいで戦意を喪失しているようじゃ駄目よ。なんせ魔王が相手なんだから。命を捨てる覚悟で食らいついてこなきゃ」


「そんな………………僕にはまだ早かったってことなのか」


「その歳にしては頑張った方じゃない?……………まぁ、でもこれで終わりよ」


魔王は魔剣を振り上げ、シャウロフスキーを一瞬悲しい表情で見つめた後、すぐに真顔に戻り、こう言った。


「冥土の土産に教えてあげる。私の名はモロク………………の魔王よ」


直後、魔剣が勢いよくシャウロフスキーに向かって振り下ろされた。


(くそっ!師匠にあれだけ大口を叩いたのに!結局、このザマだ!僕は弱い!あの頃から何も変わってない)


シャウロフスキーは心の中で叫び、涙を流した。彼はここで生まれて初めての挫折を味わったのである。ラクゾで暮らしている時は特別、何かを感じたことはなかった。特に変わり映えのしない毎日であり、いくら魔族の中では弱い種であろともそれを当たり前のこととして受け入れ、劣等感を

感じたこともない。しかし、両親が他国に連れ去られ1人で生活していかなければならなくなった時から何かが変わった。もう誰も守ってくれる者はいない。そこで彼は初めて両親の有り難みを感じたのだ。そこからの彼は周りに舐められないように且つ目を付けられないよう気を付けて生きてきた。すると途端に自身の弱さが足枷となって生活の邪魔をしてきたのだ。そんな中で出会ったのがシンヤ達だった。彼らはとにかく強く逞しく、何より眩しかった。特にシンヤは自分のやりたいように自由に生きており、その全てに憧れたシャウロフスキーは弟子入りを決意したのだ。そんな尊敬する人に叩いた大口の結果がコレである。側から見れば、正義感に駆られ、なおかつ師匠に認められたいと意気揚々と向かっていった者が不様に散っていったように見えなくもない。だが、こんな状況になってまでも彼には掴みたい夢があった。それは……………シンヤのようになりたいというものだった。


「一体、これのどこが師匠みたいなんだ!僕は…………僕はただ!!」


迫り来る魔剣を見つめながら、声に出して叫ぶシャウロフスキー。当たれば間違いなく命はない。ところが、不思議と命乞いのような気持ちは湧いてこなかった。そこにあったのは自身の弱さからくる悔しさとそして、もっと強くなりたいという思い………………ただ、それだけだった。


「さようなら。もう少し時間があれば、違ったかもしれないわ…………とにかく残念ね」


魔剣を振り下ろしながら魔王………モロクはそう呟いた。この後の展開はどうあっても1つ。当事者達だけでなく誰の目から見てもそうであることは間違いない………………はずであった。


「"黒蓮刀"」


「っ!?」


しかし、どこからか現れた者によってモロクの魔剣は受け止められてしまった。驚いたモロクが目の前を見てみるとそこには黒髪黒目の少女がで魔剣を受け止めながらニヤリとした笑みを浮かべて立っていた。


「少年!よく頑張った!ここからは私が代わるよ!」


あまりの驚きで言葉も出ないシャウロフスキーに代わって、少女に最初に声を掛けたのはモロクの方だった。


「あなた、一体……………」


「ん?あ、私?」


少女はそこで言葉を区切ると次の瞬間には笑顔になって、こう言った。


「私は!魔王を討つ者だよ!」








――――――――――――――――――――


モロク

性別:女 種族:魔族(忌魔種) 年齢:22歳


Lv 89

HP 6000/6000

MP 6000/6000

ATK 6666

DEF 6666

AGI 6666

INT 6666

LUK 6666


固有スキル

魔物除け・人身御供・魅了・魔の領域・金剛・火事場の馬鹿力


武技スキル

剣術:Lv.8

体術:Lv.8


魔法

火魔法 :Lv.5

水魔法 :Lv.5

土魔法 :Lv.5

風魔法 :Lv.5

氷魔法 :Lv.4

雷魔法 :Lv.4

光魔法 :Lv.2

闇魔法 :Lv.7

無魔法 :Lv.6

空間魔法:Lv.3


装備

真紅のコート(伝説級)

真紅のドレス(伝説級)

魔剣ダーインスレイブ(覇王級)


称号

古代神の加護・魔王・武に長けし者・魔法に通ずる者・M体質・断食家・悲しき者・背負いし者・光を求める者・魔物キラー・同族殺し


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