第237話 骨折り損

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リース

性別:女 種族:人族 年齢:15歳 


Lv 90

HP 6000/6000

MP 6000/6000

ATK 6000

DEF 6000

AGI 6000

INT 6000

LUK 6000


固有スキル

テイム・等価交換・限界突破・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水


武技スキル

刀剣術 :Lv.MAX

体術  :Lv.MAX


魔法

全属性魔法


装備

山吹色のシャムシール エ・ゾモロドネガル(伝説級)


称号

創造神の加護・魔物使い・逆境を跳ね除ける者・諦めない者・傅く者・従者の心得・恋する乙女・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・元フォレスト国王女


――――――――――――――――――――


クロス(魔人状態)

性別:男 種族:人族 年齢:43歳


Lv.35

HP 5555/5555

MP 5555/5555

ATK 5555

DEF 5555

AGI 5555

INT 5555

LUK 5000


固有スキル

金剛・火事場の馬鹿力・脳筋・薬学・飛行


武技スキル

大剣術 :Lv.7

体術  :Lv.5


魔法

土魔法:Lv.3

風魔法:Lv.3

無魔法:Lv.6


装備

アダマンタイト製の大剣(級)


称号

大剣使い・慕われる者・魔人となった者


――――――――――――――――――――



「お、お主はリース王女!?い、一体何故ここに!?」


「ひどいなぁ。シードさんが僕達に助けを求めたんでしょ。シンヤが置いていった通信の魔道具を使って………………あと、僕はもう王女じゃないから」


「あ……………」


「うわ、その反応はもしかしなくても忘れてた?」


「正直、ダメ元で救援を呼んだから忘れておったんじゃ。お主らはもっと多くの者達を救う為に奔走しておる。だから、あまり頼らず、こちらで何とかしようと」


「その"多くの者達"の中にあなた方が入らないとでも?」


「っ!?」


「安心して。縄張りの人達を見捨てるようなことはしないから。最優先で守るよ」


「か、かたじけない!助かる!」


シードは立ち上がって、頭を下げた。全身の痛みなどは気にしていられない。自分達を守ってくれる者に対して、倒れたまま感謝の意を表すということはできなかったのだ。


「戦闘の最中だというのに随分と余裕だな?まさか、俺のことを忘れていたとでも言うつもりか?」


「ん?……………あ」


「お前もそこの爺さんのことは言えないじゃないか。というより、こうして武器を交えていてのその態度はもはや称賛に値するな」


「ありがとう。名も知らぬ大剣使いさん」


「俺の名はクロス。そこにいる奴らのリーダーを務めている者だ。ところでお前は………………」


「僕はリース。そこにいるフェンリルを含めた従魔が所属する部隊のリーダーを務めている」


「その黒衣にクランマーク、それと従魔部隊という言葉……………そうか、お前は"黒天の星"のメンバーだな?だが、妙だな。リースという名は聞いたことがないぞ」


「最近、入ったからね。まだ無名でも仕方ないよ。というか、あの中で名を上げるのはとても難しいよ?だって偉大な先輩方がいるし」


「その偉大な先輩方がここに来ないでお前のような無名が代わりに来たのは何故だ?」


「言わなくちゃ分からない?」


「……………まさかとは思うが、俺の相手がお前1人で十分だと判断されたとでも?」


「なんだ、分かってるじゃん」


「あまり、俺を舐めるなよ…………"羽振はいしん"!!」


「うおっと!」


突然、大きく翼を羽ばたかせたクロスはそれと同時に後ろへと下がった。その際に突風が吹き荒れ、一瞬驚いたリースもまた後ろへと下がる。こうして両者の間には距離ができた。だが、これだけで終わるクロスではない。直後、高ランク冒険者でも対応できるかどうかといった速度で移動し、リースとの距離を詰める。


「"大空斬たいくうぎり"!!」


「っと!」


リースが紙一重で避けたことにより、クロスが放った大振りの一撃は空を切った。とはいってもリースにそこまでの余裕があるかと問われれば、決してそうではない。部隊長を務める程の男、それもパワーアップ直後ともなれば、そのスピードと破壊力は桁違い。流石に受け止める訳にはいかなかった。


「分かる!分かるぞ!リースとやら、お前は俺と切り結んだ時、悟ったのだろう?俺とまともに打ち合ってはダメだと!」


クロスは攻める手を止めずに話しかける。一方のリースは話を聞き流し、ひたすら避けることに徹する。彼女がここまで集中して、反撃をせず避け続けるのには訳があった。それはある瞬間が訪れるのを待っていたからだ。そして、その時は突然訪れた。


「くそっ!刺さってしまった!」


なんとリースに向けて放った何度目かの一撃が空振り、地面へと突き刺さったのだ。その瞬間、これをチャンスと捉えたリースはクロスへ向けて駆け出して、背後へと回り込むと後ろから翼を全力で斬りつけた。


「"折り羽"」


「ぐわああああっ!?」


「ふぅ………これで飛ぶことはできないかな」


先程、クロスが後ろへと下がった時、リースは感じていたのだ。あの翼はお飾りではないと。羽ばたき具合から見て、きっと飛ぶこともでき、もしかしたら空中戦を仕掛けてくるかもしれない。そうなる前に翼の機能を停止させ、ついでに陸上での機動力自体も削いでおけば一石二鳥であると。そこでずっとその機会を窺っていたのだ。


「ぐあっ、くそがあっ!」


「っ!?」


しかし、1つ誤算があった。それはクロスからの反撃が思いの外、すぐにきたことである。追い詰められた鼠は怖い。リースは完全に予測できていなかった為、間近で尻尾の一撃を食らってしまったのだった。


「はぁ、はぁ、はぁ……………よくも俺の翼を」


「うっ、なんて馬鹿力なんだ。こりゃ、何本か骨がいったね」


お互いが満身創痍。そもそも実力が拮抗している者同士、その身にたった一撃とはいえ攻撃を受けてしまうとこうなるのは必然だった。だが、負ける訳にはいかない。両者共、背負うものがあるからだ。


「おそらく、あと数回の斬り合いで決着がつくだろう」


「そうだね」


「何か言い残しておくことはあるか?」


「ないよ。だって、負けないし。そっちは?」


「俺も同じだ」


本来ならば、即倒れ込む程の激痛。ところが、彼らは常人ではない。いくつもの死闘を乗り越えてきた歴戦の猛者だ。だから、この状態はただただ意地で立っているだけに過ぎなかった。


「では仕切り直していくぞ!」


「あっ、ちょっと待って……………"天使の蘇生エクストラ・リバース"」


「は?」


「よしっ!じゃあ、やろう!」


「ち、ちょっ、ちょっと待っ」


この日、1人の魔人が間抜け面を晒したまま、世界から消え去った。

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