第193話 国王と側近
「国王陛下!至急お伝えしたいことがございます!」
「何だね、騒々しい……………ん?このやり取りって前せんかったか?」
「しましたかね?最近、物忘れが酷くて、なかなか思い出せないんですよ。もしかしたら、歳のせいかもしれないです」
「それ、嫌味じゃろ。お主よりワシの方が歳上じゃないか」
「そんなくだらないことはどうだって、いいんですよ!今は至急、ご報告しなければならないことがあるんです!」
「くだらない?どうだっていい?なんか、かなり引っかかる物言いだが……………まぁ、よい。ではその報告とやらを申せ」
「はい。先日、クラン"黒天の星"の冒険者総勢17名がカンパル王国へと入国を果たしたとお伝えしたのですが今回はその続報です」
「ほ〜楽しみじゃな。何かとんでもないことでもやらかしたのか?それとも真面目に依頼をこなしておるとか?どちらにせよ、彼らほどの冒険者が関わるんじゃ。きっと一筋縄では…………」
「いえ。彼らは先程、この国を発ちました」
「いや、展開早っ!!何でいきなり帰っちゃってんの!?途中経過は?中間報告は?」
「そんなものございません」
「何で!?続報だって言ったじゃん!こちとら、一体何の依頼を受けてんのかすら、把握しとらんのに!」
「続報が彼らの帰国だっただけの話です。そんなに興奮なさらず」
「いや、そりゃ騒ぎ立てるじゃろ!こっちは入国と帰国の報告しか受けとらんのじゃから。一体、その間に何があったんじゃ!?うわ〜気になる」
「大したことはございません。彼らはセントラル魔法学院での特別講師という依頼を受けていました。その中で学院内に蔓延っていた差別的風潮を弾圧し、学院実績の向上に努めた。ただそれだけのこと。それに加えて、学院自体のイメージアップも行った結果、国内外問わず、様々なところから入学志願者が増えました。担当していたクラスに至っては座学・実技の成績が軒並み上がり、より実戦的な技術を身に付けさせることに成功したみたいです。さらにそのクラスを竜闘祭の優勝まで導き、挙句の果てにはそのクラスの生徒達全員が学院を辞めて、冒険者となり、"黒天の星"の傘下に入ったようです」
「いや、お主ちょ〜詳しいじゃん!しかもその内容、大したことありすぎるじゃろ!ってか、知ってたんなら、早く言ってよ〜」
「学院に吹いた一陣の風。それが変えたものとは一体何だったのか……………我々がそれを知る日も意外と近くにきているのかもしれない」
「いや、何綺麗にまとめようとしてんの!?そんなんじゃ誤魔化せんぞ」
「冗談はさておき………………今、言った内容がここに纏められていますが拝見されますか?」
「当たり前じゃ!ちょうど良い休憩になる」
「10分前まで寝ていた方が何を仰るのやら…………ボソッ」
「ん?今、何か言ったか?」
「いえ、何も」
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