第194話 既知
「な、何〜!?も、もう帰っただと!?」
「ええ。どうやら、一足遅かったようですね」
「そんな馬鹿なぁ〜……………っうか、もう少しぐらい引き止められなかったのかよ」
「こればっかりは仕方ないよ、ルクス」
「そうだな。ネバダさんには一切の責任がない。彼を責めるのはお門違いだ」
「で、でもよ!これで2回目だぞ!わざわざフリーダムまで足を運んだが会えずじまい。それで仕方なく、足跡を地道に追っていって、ようやくここに辿り着いたってのに………」
「運が悪かったね」
「1度あることは2度ある。そして、2度あることは3度ある」
「じゃあもう1回こんなことがあるってのか!一体どれだけすれ違えば気が済むんだよ!」
「…………ルクス、先程から大きな声を出しすぎですよ。この学院にいるのはあなた達だけではないのです。騒音は控えて下さい」
「す、すまん。ネバダさん」
「いえいえ。分かればよろしい……………とは言ってもルクスの気持ちも分からない訳ではありません」
「だよなぁ?せっかく、こんだけストーカーしてきたんだ。そう簡単に諦めきれるかよ」
「ストーカーの自覚あったんだ」
「当たり前だろ。側から見たら、完全にそれだ」
「だが、これからどうする?このまま闇雲に追っていてもまたこんな展開になるかもしれないぞ」
「そうだな……………」
「…………分かりました。私の方でも少しばかり協力しましょう。彼らはここに通信の魔道具を置いていきました。なのでここに連絡があった時にでもあなた達のことはそれとなく話してみますよ。もちろん、この近辺に存在が確認された場合もあなた達にお伝えします。それでいかがですか?」
「ほ、本当か!?」
「ち、ちょっとネバダさん!あまりルクスを甘やかさないで下さいよ!」
「そうだ。俺達のしていることは完全に自己満足。他人に迷惑をかける訳にはいかない」
「まぁ、協力といっても今、言った内容のことしかしませんから。別に大した負担はないですよ」
「ヒャッホー!ありがとうな!いや〜昔からネバダさんとブロンさんは特に俺の味方をしてくれたからな!今回も力を貸してくれると思ったぜ」
「全く…………調子がいいんだから」
「こいつは昔からこういう奴だろ」
「そういえば最近、俺達の他にもここへ訪ねてきた奴はいるのか?」
「いえ。来客などほとんどありませんから。それと彼等とも随分と会ってないですね」
「そうか。そのうち全員集合して酒でも飲みてぇな」
「それは賛成だね」
「積もる話もあるだろうしな」
「それは楽しみですね」
「んじゃ、邪魔したな。そろそろ行くわ」
「お忙しい中、ありがとうございました」
「また機会があったら、会いに来る」
「こちらこそ、久しぶりに会えて嬉しかったです。またいずれ、どこかでお会いしましょう」
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