第57話 九尾

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クーフォ

性別:女 種族:獣人(九尾種) 年齢:16歳


Lv 50

HP 4300/4300

MP 4200/4200

ATK 4473

DEF 4012

AGI 4756

INT 4284

LUK 4500


固有スキル

獣化・韋駄天・神楽・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???


武技スキル

刀剣術:Lv.MAX

体術 :Lv.MAX


魔法

全属性魔法


装備

黒衣一式(神級)

黄色の鉤爪バクナク(上級)


称号

稲荷神の加護・幻獣種・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・真面目


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韋駄天

1日3回まで使用可能。10分間、AGIを2倍にする。


神楽

見る者、全てを魅了する神秘的な舞い。指定した者の全ステータスを半分にする。ただし、1日1回しか使用できない。


稲荷神の加護

稲荷神ウカノミタマの加護。DEFの値に補正。


幻獣種

数少ない幻の種であり、それは突然変異か、はたまた何かの意思が働いたのか………誕生の要因は未だ不明である。全ステータスに補正。


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「おい、あれ見ろよ」


「ん?……………あの服装にあのクランのマークは…………」


「最近、注目されているクラン"黒天の星"だ」


「あぁ、確か、ここから随分と離れたフリーダムとかいう街で結成されたクランだろ?噂では結構いかついことをしているみたいだが」


「らしいな。こんなところまで出回ってくるぐらいだ。相当なんだろう…………って、そんなことが言いたいんじゃないんだよ!」


「どうした?」


「あそこにいるのはクランの幹部"十人十色"の1人だ。それも"朱鬼"とかいう二つ名があるSランクの化け物だよ。ちなみに副クランマスターとその補佐はまとめて"二彩"っていうらしいな」


「幹部でSランクとか正気かよ。まさか、他の9人もSランクだとかじゃないだろうな?」


「実はそうみたいだ。俺は今まで最高でもBランクまでしか見たことなかったから、正直夢でも見ているみたいだ」


「ん?待てよ?あいつら、2人しかいなくないか?他の連中はどうしたんだ?」


「そんなこと知るかよ。俺が知りたいくらいだ。しかももう1人に関してはあまり情報が出回ってないしな…………どうやら、獣人の幻獣種みたいだが」


「9つの尾…………あれって、九尾だろ?」


「ああ。かなりの希少種で存在自体が謎に包まれているから、詳しいことは、何も分からん。ただ1つ言えるとしたら」


「何だ?」


「あのクランにいるくらいだ。めちゃくちゃ強いのは間違いないだろう」


「だな」


「間違っても怒らせないようにしよう。聞くところによると奴らは自分達から手を出すことは滅多にないらしい。余計なちょっかいをかけなければ大丈夫だろう」


「そうだな…………おい、ちょっと待て。言ってる側から奴らに近付いていく奴がいるぞ」


「まぁ、まだ余計なことをすると決まった訳じゃないから…………なんか雲行きが怪しくないか?」


「みたいだな…………って、おい!あの男、何故か知らないが殺られたぞ!しかもよく見れば、あいつAランククラン"永久凍土コキュートス"のメンバーじゃねぇか!これはとんでもないことになるんじゃないか?」



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私はクーフォ。獣人の中でも非常に稀な種、九尾の狐としてこの世に生を享けた。といっても生まれてすぐに森の中に捨てられてしまったから、両親の顔は知らないんだけど…………。で、その後すぐに別の里に暮らす獣人に拾われ、この歳まで愛情を持って育ててもらったわ。でも、ある日、里の近くにある危険だから立ち入らないように言われていた森の奥に行ってしまったの。その日はお世話になった義理の両親の誕生日だったんだ。だから、日頃のお礼にと、森の奥深くにしか生えていない特別なキノコを求めて入っていったんだけど…………そこで何やら、複数の男達が密談のようなことをしていて、たまたま、そこに出くわしてしまった私は口封じの為か奴隷として売り飛ばされることになってしまった。家族に何にも告げることができず、私は迷宮都市と呼ばれる場所のオークションに出品されることとなってしまい、これから先の人生が暗く閉ざされたものになると落札されるその瞬間まで思っていたのは確かだった。けれど……………




――――――――――――――――――――





「おい、お前ら、いい顔してるな。ちょっと俺に付き合えよ」


シンヤ様に発表された私、クーフォの上司はカグヤさんだった。現在、私達はシリスティラビンから遠く離れたサドという街に来ていた。ここで私の組のメンバーとなる者達を探そうという訳で着いて早々、冒険者ギルドへと足を運び、何か情報がないか探ろうとしたんだけど……………


「ん?どうした、クーフォ?」


「いえ、話しかけられているのにカグヤさんが無視しているので」


「いいかい、クーフォ?覚えておきな。これは話しかけられているんじゃなくて、絡まれてんだよ」


「そ、そうなんですか」


「早く慣れた方がいいぜ。こんなこと日常茶飯事だから」


「確かにシリスティラビンにいた時も視線を多く感じていましたが」


「そうそう。こんな奴に絡まれてもとにかく無視。これが大事ね」


「分かりました」


「おい!さっきから聞いてりゃ、絡まれてるだの、こんな奴だの…………俺を馬鹿にしてんのか!」


「で、こういう風にしつこい場合は一応、反応してやる。その方が早く終わるかもしれないからな……………で、何だよ、木偶の坊」


「てめぇ………どこまで人のことを馬鹿にすれば気が済むんだ」


「うるさいな。早く用件を…………って、そいつらはお前の奴隷か?」


「ん?ああ、のことか。そうだ。有名クランに入ったばかりで記念金をがっぽり貰えてな。その金で買ったんだ」


「…………何の為に?」


「は?そんなのサンドバッグや囮の為に決まってんだろ」


「その娘達にあるアザや切り傷は?」


「早速、目的の為に使。でも、こいつら、ほんと使えなくてイライラするわ。ストレス発散する前にこいつらに対して、まずストレスが溜まるし、金の無駄遣いだったかもしれないと思っているところだ」


「屑だな。この娘達もこんな奴に買われて可哀想に…………主様だったら、こんなことは絶対にしないはずだ」


「屑だと!?てめぇ、舐めた口利くのも大概にしろよ?よく分からん小娘達が偉そうに。俺様を一体、誰だと思っていやがる!」


「知らんし、興味もない」


「聞いて驚け!俺様はかの有名なクラン"永久凍土コキュートス"のカバナ様だ!Bランクに上がったタイミングでスカウトされて入った有望株よ!」


「こんな屑でもBランクになれるとか、ギルドの審査はどうなってんだ?」


「おい!いい加減にしやがれ!何回も人のことをおちょくりやがって!本来、お前らみたいな雑魚が気軽に話していい相手じゃないんだぞ!」


「ほい、これがアタシのギルドカード」


「私のはこれよ」


「ん?どれどれ……どうせ、Eランクが関の山だろ…………ってSランクとAランク!?う、嘘だろ!なんでお前らみたいな小娘が!?」


「無知っていうのは罪だな。アタシらの服装とクランマークを見ても気付かないとは」


「鳥頭ね」


「ん?そういえば、お前らはどこかで…………あ!ま、まさか"黒天の星"の奴らか!」


「そう。これで分かったか?本来、お前みたいな雑魚が気軽に話していい相手じゃないってことが」


「くっ…………これがもし、本当なら名を上げる絶好のチャンスだ…………よし。お前ら、今すぐ金と武器を寄越しな!そうすれば、命だけは勘弁してやるよ」


「は?お前、馬鹿か?さっき、ランクがどうとか、ほざいていただろ。その理論からいけば、アタシらにそんなこと言える立場じゃないんじゃないか?」


「うるさい!お前らみたいな小娘達が高ランクな訳ないだろ!いいから、寄越せ!」


逆上した屑が剣を抜いて襲いかかってくる。目を瞑ってでも避けられる精度とスピードに呆れながらも私は拳を握りしめ、応戦しようとした。しかし…………


「お前こそ、その娘達を解放しな…………"支柱斬り"」


その前にカグヤさんが小太刀を一閃し、屑を真っ二つにした。相変わらず、早過ぎて目で追うのがやっとだ。これでも全然本気じゃないというんだから驚きである。シンヤ様曰く、進化すると一味も二味も違うらしい。私も早く進化してみたいものだ。


「大丈夫かい?ごめんな、驚かせて」


その後、カグヤさんはすぐに屑が連れていた奴隷の娘達にフォローを入れていた。少し怯えた表情をしていたが、熱心に労っていたからか次第に落ち着きを取り戻し、こちらに感謝を述べてきた。


「この度は本当にありがとうございました。私達は毎日、この男に酷い目に遭わされ、辛過ぎる現状にこのままだと最悪の手段を取らざるを得なかったところでした」


「まぁ、成り行きだ。でも、この先、行く宛はあるのか?奴隷契約の解除は奴隷商でなきゃできないだろうし、お前達5人じゃ色々と厳しいだろう?」


「確かにこの先、困難が待ち受けているのはほぼ確実でしょう。しかし、今までの生活から解放された…………これだけで満足です。逆にこれ以上を求めるとバチが当たりますよ」


「…………お前らがもし、よければなんだが」


「何でしょう?」


「アタシ達と一緒に来るか?」


「カグヤさん!?」


「いや、組員を探していたところに行き場のない子羊ちゃん達…………これは運命じゃないか?」


「いえ、私が意を唱えたいのは勧誘自体にじゃないんですよ!それをが問題なんです!シンヤ様が仰っていたじゃないですか。お目付役として同行している幹部の皆さんを頼れと。まだ、私、困っているなんて一言も言ってないですしカグヤさんが率先して勧誘していたら、意味がないんじゃないでしょうか?」


「あ……………」


「まさか忘れていたとか?」


「そ、そ、そんな訳ないじゃないか!」


「はぁ〜…………分かりました。このことは黙っておいて、私が勧誘したということにしておきます」


「ありがとうな、クーフォ!本当、助かるわ〜……………怒ると怖いからな、ティア」


「そこはシンヤ様でもサラ様でもないんですね」


「いや、だって分かるだろ?あいつの怖さが」


「ま、まぁ。否定はできませんが………」


「とにかく、そういうことだから、子羊ちゃん達」


「えっと…………どういうことなんでしょうか?」


「つまり、私達のクランに入る意志はある?ってことよ」


「いいのでしょうか?」


「遠慮はなしよ。その代わり、入った以上は私の組のメンバーとして動いてもらうことになるわ………まぁ、詳しい説明はまた後でするとして。どう?入りたい?」


「は、入りたいです!」


「そっちの娘達も?」


「「「「はい!!!!」」」」


「じゃあ、ついてきなさい。まずは奴隷商に行かなくちゃ………まぁ、何はともあれ、これからよろしくね」


「「「「「よろしくお願い致します!!!!!」」」」」

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