第48話 オークション1日目
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ローズ
性別:女 種族:ダークエルフ 年齢:16歳
Lv 30
HP 2000/2000
MP 2500/2500
ATK 3000
DEF 2000
AGI 3000
INT 3000
LUK 3000
固有スキル
呪術・罠術・五感強化・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???
武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX
魔法
全属性魔法
装備
黒衣一式(神級)
灰杖アロン(中級)
称号
狩猟神の加護・裏切られし者・失望する者・信じる者・恋する乙女・傅く者・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・ツンデレ
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呪術
恐ろしい呪いを与えるスキル。それが一体、どんな効果をもたらすかは人それぞれである。
罠術
罠を設置したり、発見したりするスキル。
五感強化
五感が研ぎ澄まされ、強化されるスキル。
狩猟神の加護
狩猟神アルテミスの加護。ATKの値に補正。
裏切られし者
多くの者に裏切られてきた者に与えられる称号。DEFの値に補正。
失望する者
何回も失望してきた者に与えられる称号。LUKの値に補正。
信じる者
自身の進路に光明を見出し、信じるべき者を見つけた者に与えられる称号。全てのステータスに補正。
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今日はオークション当日。絶望の森からシリスティラビンへと戻った俺達はギルドで魔物を売ってから会場へと向かう。ちなみにローズの冒険者ランクは登録初日の時点で既にBとなっている。今までローズへの仕打ちを見抜けなかった罰として、そうさせたのだ。そんな彼女は1週間前とは打って変わり、絶望の森でのレベル上げや盗賊狩りを通して、逞しく成長している。どうやら、彼女が俺達の役に立ちたいとやる気になっていたのが大きく影響したようだ。現に今でも
「オークション会場はこっちよ!みんな、付いてきて!」
シリスティラビンでの生活がこの中では一番長い為、張り切って俺達を案内してくれている。一生懸命、役に立とうとしているのを見るととても微笑ましい。
「分かったから、そんなに慌てるな。今、行く」
俺達は人が密集する場所へと向かっていく。1週間よりも明らかに人の数が多くなっている気がする。どうやら、考えることは皆、同じようである。
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迷宮都市シリスティラビンのオークション。計3日間に渡って行われ、数々の武器や貴金属、嗜好品、そして奴隷が出品され、参加者はそれらを競り落とそうと躍起になる。入場資格のある者は貴族、それから、地位ある者の推薦を受けた者、また入場料である金貨1枚を支払った者だけである。受付では常に衛兵が目を光らせており、不正を行って入場しようとした場合はすぐに見つかってしまう仕組みとなっている。もし、そうなった場合は二度とオークションへの参加ができなくなるばかりか、運営サイドのブラックリストにも載ってしまうのだ。また、会場内外で参加者に対して、個人的な感情からくる妨害行為・傷害行為等を行った場合も同様である。何にしてもこの3日間は特にシリスティラビン全体が盛り上がり、人々の様々な思惑が飛び交うことは間違いないだろう。めんどくさいから、そんなことに俺達を巻き込まないでくれるとありがたい…………のだが、そういう訳にもいかないだろう。なぜなら、
「なんせ、VIPルームだもんな」
冒険者ギルドで起きた差別・偏見行為を黙っている代わりに貰ったものは何も金だけではない。口止め料としてはむしろ、もう一つの方が大事だった。それが何かと言うとVIPルームでの落札権だった。一般席と違うところは雑音が入ることなく、リラックスした状態で楽しむことができるということだ。具体的に言うと、入口も別でVIPルーム自体が一般席よりも上の方にあり、全体をよりはっきりと見渡せるのである。しかも防音で参加者達の声はこちらには届かず、ゆったりとした空間でお茶を楽しみながら、参加できるのだが、1つだけ難点があるとすれば、こちらが額を言う際に音声の魔道具を使わなければならないというところだ。一般席はそんなもの使わない為、純粋な声のボリュームだけで参加できるのだが、こちらはそうはいかない。一々、声を発する度に注目が集まってしまうのは必至、普通の者は羞恥心や恐怖心で耐えられないだろう。だが、俺達にはそんなこと関係ない。まだ始まってもいないのにこちらを羨ましそうに見てくる貴族がいるが、そんなのは知ったことではない。こちらは何も不正ではなく、正規の方法で入場したのだ。文句を言われる筋合いはないのである。
「さて、もうそろそろ始まるか」
俺がそう呟いたのとほぼ同時にステージの袖から、一人の司会者が現れ、こう言った。
「大変長らくお待たせ致しました!只今より、迷宮都市シリスティラビンのオークション1日目を開催したいと思います!」
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「続きまして、こちら魔道具5点セット!いずれもなかなかお目にかかれない代物。あれば、便利!きっと役に立つこと間違いなし!落札最低価格は……………」
「金貨10枚!」
「で、出ました!またもや、43番のお客様!他には……………いらっしゃいませんね!では、43番の方に決定です!」
こちらを悔しげに見てくる貴族を無視して、ステージ上に目を凝らす。オークションが始まってから、欲しいものは片っ端から落札していった。相手が貴族だろうが、何だろうが、問題はない。スタンピードの報酬や魔物の買取金に盗賊の懸賞金その他諸々…………。これまでに手に入れた金は計り知れない。3日間のオークションで欲しいものを全て手に入れることなど造作もないのだ。
「お前ら、帰ってから、品物を分配するからな。今の内に欲しいものをピックアップしておけよ」
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「ここまで武器、骨董品、魔道具、貴金属と見てもらいましたが、次の部門がなんと本日、最後となっております!気になるその部門とは…………奴隷にございます!」
「シンヤさん、いかが致しますか?」
「ま、気になるのがいたらって感じだな。俺としてはお前らがいるだけで十分幸せだしな」
「シンヤさん………」
「シンヤさん………」
「主様………………」
「シン、ヤ…………」
「シンヤさん………」
「シンヤ……………」
「シンヤ殿…………」
「シンヤ……………」
「マスター…………」
「盟主様……………」
「シンヤ……………」
「シンヤ……………」
「な、何なんだよ、お前ら………言っておくが、これは冗談じゃないぞ?俺は当たり前のことを言っただけだからな」
俺のその言葉に何故か、泣く者や目を瞑る者、走り回る者がさらに出てきてしまった。おかしい。どうしたんだ、こいつら……………俺はただ、冗談だと捉えて呆れた顔をしたこいつらに本当の気持ちだと伝えただけなのだが………もしかして、呆れていた訳ではない?なら、一体、どういう感情なんだ?普通、大事なら大事と伝えるだろ?あれ、違うのか?…………ま、いいか。オークションに意識を切り替えよう。
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「………どうでしょうか?」
「そうだな………この中だと3人だな。ちなみにお前らも今後、何があるか分からんから、こういう機会に物や人を見る目を養っておけよ。例えば、自分だったら、どうするかとか考えてな。言っておくが、ティアやサラはちゃんとした目利きが出来なきゃダメだからな?副クランマスターとその補佐なんだから」
「は、はい!」
「し、承知しましたわ!」
「いい返事だ…………さて」
俺は2人の反応に満足すると再びステージ上へと視線を移す。そこには多種多様な種族、性別の者達が合計10名程並べられていた。皆、表情がそれぞれ異なっていて、不安そうな者、不敵な笑みを浮かべる者、無表情といった具合だ。俺はその中でも特に気になった3名を落札することに決めた。
「では、皆様、お気持ちは固まりましたでしょうか?こちらには落札最低価格などはございません。全て、言い値で決まります。私が順番に読み上げていくので、ご希望の方がいらっしゃれば、額を言って頂いて、それを上回る方がいらっしゃらなかった場合、最後に額を告げた方が落札者となります。それでは参ります。まずはこちら………人間の男性、30歳。元は農民。腕力には自信があるとのこと………はい、11番の方、金貨3枚です。他には…………おっと15番の方は金貨5枚だ!これ以上はいませんか?…………はい、いらっしゃらないようなので、15番の方に決まりです」
この後は他人の落札状況を省き、俺ののみお送りする。
「では続きまして、こちら種族は獣人で世にも珍しい九尾種でごさい…………お、おっと43番の方、金貨10枚!どうやら、他にはいないみたいです!」
「さらに続きまして、こちら種族は竜人でなんでもいなくなった姉を探している内に何故か、ここに…………お、またもや、43番の方、金貨15枚だ!これに対してはやはり、競う方、おらず!」
「そして、こちら種族は魔族で夢魔種、通称サキュバスで………おっと、早い早すぎるぞ、43番!金貨20枚。こんなのに一体、どうやって太刀打ちすればいいのだ!はい、落札!」
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「俺はシンヤ。たった今からお前達の仲間であり、家族だ。これから、よろしく」
「家族?奴隷ではなくて?」
「なんか裏があるんじゃないだろうか?」
「アタクシが夢魔だからといって、甘く見ないでちょうだ〜い」
俺は仲間達をVIPルームに置いて、1人でステージ裏まで来ていた。支払いを済ませ、品物を受け取る為だ。しかし、落札した3人からはすこぶる警戒されている。だが、正直、ここまでは予想済み。予想ができないのはむしろ、この後の俺の行動の結果だ。間違いなく、この3人と俺にとってはここがターニングポイントとなるだろう。
「お前らの反応は予想済みだ。ちょっと待ってろ」
そう言って、VIPルームに戻り、ある1人を連れ出してから、またステージ裏へと向かった。
「待たせたな。こいつを連れてくる為にここを離れていたんだ」
「…………嘘だ。な、なんで………」
「やはり、こいつに見覚えがあるか?」
「見覚えがあるも何も…………な、何故だ。何故、ここに」
それから、一息吸うとある言葉を発する少女。彼女のその瞳には
「何故、ここに…………姉上がいるのだ!?」
真っ直ぐ、凛として少女を見つめて佇むラミュラの姿が映っていた。
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