風くらいがちょうどいい

風くらいがちょうどいい


キミがたとえば早足で

僕をおいていったって

後姿は見えるもの

急げば追いかけられるもの


たまに吹く強風も

今日の僕らの暮れになり

新たな季節をくれるから


たとえば音さえ追い抜いて

過ぎ去る想い出の曲もないなら

きっと立ち止まってしまう


凪いだような轟きは

止まること それすらなくて

ふみの一字も 砕いて飛ばし

強く強く僕らを割るね


たとえる間もなく暗闇に

光と去ってしまったら

幻すらも映さずに

気づかず忘れてしまうかな


光も 音も 風さえも

僕の歩みには早いけど


風くらいがちょうどいい

たまには止まってくれるしね


優しく厳しく

暖かくて 冷たい

季節とともに香りたつ

僕らの世界の彩りになる


キミのような風がいい



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