四日目 豚野郎

「マスター! 三クッキー、四エスプレミルク四とラスク、五カモミール!」

「はーい! これ、一番のモーニングティーセットと二番のクリームソーダ! あと三番のクッキーは戸棚の四列目!」

 お昼を間近にして、店内は更に人が増えていました。相席でも構わないという人達が、そこで仲良くなって注文を繰り返し、狭い店内はどんどんぎちぎちになっていきます。

 ここ、本当に喫茶店なのか? だんだんと膨らんでくる疑問にも負けず、働く私を、今日一番の災難が襲いました。

「ふひっ、おっと手が滑ったw」

 私のおしりを触るゴミがいました。殺しましょう。

「うひっ、うひひっwそんな格好してるほうが悪いでしょうwふぇふふふw」

 脂ぎった顔とくっさい体、醜く肥えたクソ野郎はそう言って笑いました。

「……」

 落ち着きましょう、まずは通報します。それから……

「技を借りるよ、ややちゃん」

「んー? 何か言いましたぁ? 聞こえませんねぇww」

 手に持っていたお盆を放り投げて、私とキモイ客の間に落とし、そのままお盆ごと貫く勢いの回し蹴りを放ちます。

「ぶげぇっ!?」

 どしゃっと地面に落ちる音と、からんとお盆が転がる音。そう、こうすれば威力が分散するし、蹴ったあとが残らないので色々便利なのです。

「って、てめえ! よくもやったなぁ!」

「申し訳ありません、ここはおいしい紅茶を出す店なので、その手のサービスが欲しいのならきちんとした店でやってください」

「このぉ!」

 どたどたと立ち上がって、殴りかかってきたとき、ドアベルの音と共に警察が入ってきました。

 そこで、上手いことパンチは避けながら、勢いよく地面に倒れ込んで、殴られたように演出します。

「いったぁーい!」

 はい。あとはもう、語るまでもありません。

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