四日目 地獄の始まり

 助けてください。土曜日は午前から忙しすぎて死にそうです……

 正直舐めてました。はい。マスターから今日の仕込みは普段の二倍やるって言われて、卸さんがやってきて凄い量の荷物を持ってきて、あれもこれも足りないからと朝から各所を駆け回って……

 そして今、全席が埋まって、紅茶もコーヒーも軽食も、出来たらすぐ運んで、会計をして片付けてを一人でやっています。料理をして紅茶を入れるのはマスターなのですけど、そのマスターも死にそうです。

 この地獄の土曜日を一人で回していたマスターに最大限の敬意を払いつつ、狭い店内をねずみの様にてんてこ舞い。しかも、たまにセクハラしようとしたり盗撮しようとする不埒なやからの対処もしなくちゃなので、もう頭がパンクしそうです。

 なるほど、マスターが金土日と私を休みにしてくれた理由がこれですか……

「嬢ちゃーん! お冷ー!」

「ここは居酒屋じゃないので大声出さないでくださーい」

 こういう私の目当てのキモイ客も多くて辛いです。普段商店街でサービスしてくれる人達は、まだいらしていないので、おそらく本当にクチコミかなんかで見てきた人でしょう。しつこければ通報します。

 そんなこんなで、地獄の土曜日が始まりました……

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