三日目 慌ただしい一日の終わり
「五番テーブル、日替わり一つ」
「はーい」
メイドさんからご注文の品を渡されたので、本日最後のサンドウィッチを持っていきます。私達も、そろそろお昼休憩に入ろうとしていた所なので、店内には一人しかお客さんはいません。先生は客に含みません。
「メイドさん、色々と手伝ってくれてありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。何とか原稿が間に合いそうで安心しました」
「残った材料で簡単なランチを作るので、向こうで燃え尽きた先生のとこで待っていてください。モカで大丈夫ですか?」
「ええ、先生にはお砂糖一つとミルク二杯の紅茶を」
ところで、お気づきでしょうか。そう、マスターがいません。と言うのもマスターは結構前から出張してくると言ってふっと消えてしまうのです。そんなに長い時間でもないし、不定期なのでそこまで困ることは無いのですが。
それに、今日はメイドさんが手伝ってくれたので、いつもより余裕を持って動くことが出来ました。
「ということで、ちょっと豪華にしてみました。ごゆっくりどうぞ」
多めのタルタルたまごサンドと、じっくり丁寧にいれたコーヒーを出して、作家先生の紅茶は少しだけ冷ましてから提供しました。
「残り物って……もしかして、最初からこうするつもりで残して?」
「さぁ、どうでしょ」
「まったくもう……」
呆れながらも出されたたまごサンドを美味しそうに頬張るのを見て、とてもいい気分になって、それだけでお腹一杯になってしまいました。
しょうがないので、自分の分は一回横に置いといて、ぱぱっと洗い物を済ませてしまいます。それと、冷蔵庫の中身チェックも。
「さらみー、はらみー、さば味噌煮ー。きゅうりー、しょうりー、油淋鶏♪」
うん、午後は買い出しをしなくても良さそうですね。
そうしてのんびりしていたのですが、結局誰も来なかったので、早めに切り上げて、マスターの帰りを待ちました。
どうして今日こんなに人が少なかったのかきいてみると、どうやら毎週金曜日はみんなおうちで過ごす日のようで。それでも独身の人や遠方から来た人がいるからお店自体は開くのだとか。
そして、土曜日曜ととても忙しくなって、月曜日はおやすみ。それがこのお店のサイクルのようです。
金曜日はバイトに来ていなかったので、今初めて知りました。
そっかぁ、明日忙しくなるのかぁ……今からとても不安ですが、まぁ頑張りましょう。きっと、また素敵な出会いがあるはずですから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます