三日目 メイドさんと楽しいクッキング

 まぁ実際に電話をかけてはいないのですが。私たちの声に気づいて、それでも恥じらうことなくおつかいのお礼をしてくれました。

「お互いに新作に煮詰まっていたのよ。だからこうして二人で仲良く協力していたってわけ」

「そうよぉ、決してやましいものはないわ。このビキニだって、この子の為だけに作ったのよ? あっ、あなた達も欲しい? それならすぐ作れるわよ!」

「いらないです」

「……」

 私はきっぱりと、メイドさんは無言で返すことで否定し、そのまま厨房に向かって行きました。

「そうだ、メイドさんってお料理とかお菓子作りもするんですよね?」

「ええ。何か、作りますか?」

 お仕事モードに入ったメイドさんと何を作るか相談し合いながら、常設メニューの仕込みをします。

「手際いいですね。まだ三日目なのに」

「もう三日目、って言っていいかもです。元々料理もお菓子作りも好きでしたし。友人に何か作れとよくせがまれたものですよ」

「ふむ……そうだ、パンでも焼きますか?」

「パン、ですか」

「発酵とベンチタイムがネックですけど……ランチメニューまでには焼けるかと」

「んー……そうだ、その生地を使ってラスクを作るのもいいですね」

「それじゃあ、材料とスペースをお借りしますね」

「イーストはそこの棚で、小麦粉は裏にキロ単位であるので自由に使ってください」

「わかりました」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る