三日目 おつかいの帰り、野生のメイドと出会う

 この二日で、ご近所さんとはすっかり仲良くなりました。皆さん暇があればお店に来てくれて、こうして外に出た時も気軽に声をかけてくれたり、美味しいものを食べさせてくれます。なんか絵面が餌付けみたいです。

 今日も、精肉店でお肉を買った時にメンチカツをおまけしてくれたり、それに負けじとみんな色々くれましたが、どうしてそんなに良くしてくれるのか、あまりわかりません。とりあえず貰ったらメイド服をひらひらーってしたり可愛いポーズをとってお返しだけしておきます。

 ぺこりと頭を下げて帰ろうとすると、背中に凄まじい熱気と歓声が聞こえてきます。なんだか、アイドルになった気分ですね。

 今日は休日なので、子供が公園で楽しそうに走り回っていました。それを見守るお母さん達も、楽しそうにおしゃべりをしています。

 腕時計を見ると、もう結構な時間です。急いで戻らないと開店の準備に間に合わなそうなので、荷物を抱え直して、少し歩を早めようとした時。

「……」

 視線を、感じます。どこから見られているのかはわかりませんが、とりあえずばっと振り返ってみます。……だれも、いません。

「気のせいかな……」

 くるりと前を向いてみると

「おはようございます」

 目の前に、眼帯の、メイドさんが

「……っうわぁぁぁ!? びっ……くりしたぁ!」

 いやマジで怖いんですよ。ぬっと現れたのが眼帯つけた私より身長の高い人ですよ!? 結構怖いです!

「ふふっ、どっきり大成功です。ところで、えっと……」

「あぁ、バイトちゃんか八重園やえぞのか好きな方で呼んでください」

「では、バイトさん。改めておはようございます」

「おはようございます。それで、どうしたんです? 先生が見当たりませんが」

「実は昨日の夜から行方がわからなくて……そろそろ締切がやばいので監禁してたんですが、窓ガラスをぶちやぶって逃げちゃったんです」

「あらまぁ、それはまた。……そういえば、私の記憶違いで無ければ昨日うちに忍び込んでいたような」

「本当ですか? よかった、ちょうどこれからお店に行ってみようと思っていたので」

「じゃあ一緒に行きましょうか」

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