二日目 卸さんの訪問

 今日提供する予定の料理の仕込みや足りない材料の買い出し、店周りの掃除を終えると、かなり背が低くて独特な喋り方の人がやってきました。どうやら、茶葉やコーヒー豆の卸業者さんのようです。

「頼まれた茶葉」

「ん、確認しました。代金と少し足りなくなってきたもののリスト、お願いしますね」

「ご贔屓に」

 被っていたぼろぼろのハットを指で弾いて、おろしさんは帰っていきました。

「毎度注文通りなのはいいのよ、でもあの喋り方にはなれないわ」

「単語しか喋らないって、独特な喋り方でまとめていいのでしょうか」

「んー、ケースバイケースかしら。でも、余計な話はしない、こっちが得になるようになるべく安く、質の良いものを確保してくれるからこちらとしてはありがたいのよね」

「私がこの店を継ぐことがあったら、あの人との付き合いも続くのですか?」

「続けなさい。現状、私の知る限りで一番優秀だから」

「忘れ物。試せ、新商品」

「わっ、びっくりした……ってこれ、八幡やはた印の茶葉じゃない。どうしたの? こんな高級品」

「伝。三人分、入れ方わからん」

「あらそう。急ぎじゃないなら飲んでいく?」

「……いただく」

「じゃ、何か茶菓子が必要ね、バイトちゃん、作れる?」

「おまかせを!」

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