絢爛苛烈な家出娘

一日の終わり

「ありがとうございましたー」　

　……ふぅ、本日最後のお客様を見送って、家出初日の仕事が終わりました。

「お疲れ様。ほら、晩御飯食べましょ」

　わぁい！

　とまぁ、晩御飯をゆっくり食べてお風呂に入って、今私は部屋で日記を書いております。

　今日は私のバイト初日とあって、沢山の人が様子を見に、もしくは冷やかしに来ていたので、ちょっぴり忙しくて大変だったけど、やっぱり家を飛び出して正解でした。

　多分、これからも個性豊かな人達や、普通に生きていれば会えない人にも会えるでしょう。ここはそういうお店です。

　そうそう、それと、座右の銘を考えていました。私の母は奔放明媚という言葉を掲げていて、どんな意味なのと聞いたら、

「自由奔放に、だれよりも美しく風光明媚に生きる。夫が私を見てそう思ったらしいよ。まぁ明媚の方は少し意味違うんだけどね。語呂がさ、いいじゃん」

　と言っておりました。だから、私も母に倣って自分で作りました。それが

『絢爛苛烈』

　です。豪華絢爛に麗しく、されど誰もが目を背けるほどに苛烈に生きる。そんな意味を込めました。まぁ、そんな生き方が出来るかなんて、まだわかりませんが。

　さて、日記を書き終えて、私はベッドに潜り込みました。何故か既にマスターが寝ていましたが、気にしないことにしましょう。

　せっかくなのでマスターを抱き枕にして、私は目を閉じました。