一日目 午後のおつかい
このお店の開店時間は午前十時半。十二時を過ぎたころから、ランチやアフタヌーンティーを目的に来店されるお客様が増えてきます。
といっても、あまり多くはないので、多少忙しくなるくらいでてんやわんやと手が足りなくなることはありません。ちなみに、おすすめなのは日替わりサンドウィッチセット。サンドウィッチの中身と、提供されるお茶の種類が毎日変わるのですが、誰もが舌鼓を打ち、唸ってしまうほどおいしいのです。
まかないでそのサンドウィッチを食べたら、午後のお仕事開始です。
閉店するのは七時なので、それまでになるべく洗い物を片付けて、足りなくなった食材の買い出しに出かけます。
この辺りは、昔から残るアーケードがあり、近所の大型ショッピングモールと闘いながら、新しい歴史を生み出しています。
雑用時代にはもう常連と言っても差し支えない程度には通い慣れた八百屋や精肉店で頼まれたものを買う……のですが、マスターは買う時に余ったお金は懐に入れてもいいと言っていました。つまり、ギリギリまで値切って少しでも多くお小遣いを手に入れた方がお得! ということで計画ノート四ページ目! この商店街の人達が喜ぶ言葉と値切り方を再確認し、いざ行きましょう!
「おっ、茶柚ちゃんのとこの子か。いらっしゃい」
「こんにちはー、人参と茄子を買いに来たんですけど、あります?」
「あるよー。ほれ、そこのスーパーよりも安いよ!」
「わっ、ほんとだ! それに凄く立派。……んー、でも、少し小ぶり?」
「そうなんだよねぇ、その分味はいいと思うんだが……まぁお嬢ちゃんは何度もうちに通ってくれてるからわかってると思うけど、これ以上安くは出来ないよ? 経営も家計もそこそこ苦しいんだ」
「むむぅ……そこを何とか出来ませんかね? ほら、こっちのピーマンも買いますので」
「むっ……そうだなぁ、それなら少しだけ、安くしてもいいかな。合計で――円だよ」
「やった、ありがとうございます!」
「毎度どうもね。これからもよろしく」
「こちらこそ!」
――ということで、予定外のピーマンを加えてもかなり安く買えました! 精肉店の方も、オマケにコロッケをくれたのでとっても得した気分です! 急いで帰りましょう!
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