一日目 お部屋とこれから

さて、私に与えられたのは少し立派すぎるベッドに部屋の六割を奪われた小さな部屋です。クローゼットと机も備え付けられ、自由に動けるのはなんと三歩ほど。持ってきたトランクケースを置くと、自由に使える領域がベッドの上だけになる素敵なお部屋ですね。

 マスター曰くクローゼットの中に制服とエプロンがあるそうなので、着替えて早速お仕事開始です。

 「うん、よく似合っているわ」

 支給されたのは、和風にアレンジされたメイド服でした。とてもかわいいので気に入ったのですが、どうしてこの服なのでしょう。と、素直に聞くと。

 「常連さんの趣味よ、今度可愛い女の子を雇うって言ったら一晩で仕立ててきたわ」

 素晴らしい愛情と執念を持った変態の所業でした。お店に来たら感謝の言葉を述べつつ水かけてやりましょう。

 「じゃあ、改めて確認するわ。貴方の仕事は接客と雑用。店を閉じたら私が紅茶の入れ方を教えて、抜き打ちで試験させる。これが業務内容ね?」 

 「報酬はここでの衣食住と、お客さんとの交流。それと、マスター直伝の紅茶の入れ方を学ぶ。ですね」 

 「それじゃ、そろそろ開店するわね、表の看板をOPENにしてきてちょうだい」

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