一日目 バイト始め
というわけで到着しました。ここは昔、友人に勧められてからよく通うようになった喫茶店。店名はずばり、おいしい紅茶のお店です。実は、今回の家出の計画の中で必要になる生贄……もとい、協力者に快くなってくれたのが、ここのマスターなのです。かくかくしかじかと事情を説明したところ、あなたが将来この店を継いでくれるならと条件を付けて承諾してくれました。それからしばらく下積みという名の雑用を任され、次第にアルバイトとして認められ、最近は弟子認定もしてくれたのです。
少し重たい、しっかりしたつくりの樫の扉を押し開けると、ふわっと鼻に駆け抜ける紅茶の香りと甘い小麦粉の香り。そして、なみなみと紅茶の入ったたらいに顔を突っ込むマスターの奇行。うん、見慣れた風景ですね。
「あら、来ていたのね。貴方もどう? 顔いっぱいに紅茶を浴びると幸せな気分になれるわよ」
「遠慮しておきます。それよりも、荷物はどこへもっていけば?」
「二階の奥の部屋を開けといたわ。軽く掃除はしておいたけど、しばらく倉庫にしていたからちょっと埃っぽいかも」
「掃除は自分でするので大丈夫です。」
「そう、ならいいわ。とりあえず、荷解きは後にして、いつも通り着替えてちょうだい。今日からあなたもここで接客してもらうのだから」
「はーい」
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