絢爛苛烈な家出娘

鈴音

一日目 始まり

私のお母さんとお父さんは変な人たちです。季節感というものがなく、やけに交流が広くて、休みの日にふらっと出かけては新しい友達を作ってきます。

 そんな変な人たちの下で、時に自由に、時に厳しく育てられた私は、高校卒業を前にして家出することに決めました。

 といっても、家族が嫌いとか、卒業することを否定したいわけではありません。お母さんは大学生の時に家出をして、よく遊びに来る、お母さんの元家庭教師の先生は、中学生の時に家出をして、たくさんの出会いと素敵な経験をしたと聞けば、その間にあるべき高校で家出して素敵な出会いをしたというエピソードも必要でしょう。

 ということで学校には卒業式に出られないことを電話で伝え、家のリビングにはしばらく旅に出ますと手紙を置いて、早速家を出ました。

 私はお母さんと違い、しっかりと計画を練り、この日のためにバイトもしてお金も貯めました。まずやるべきことは、寝る場所と働く場所の確保です。

 お母さんの家庭教師さんは年齢のせいで働ける場所がなかなか見つからず苦労したと聞きました。そこで取り出すはこの計画ノートです! これさえあれば、この先何が起きようとも問題なく対応できます。

 さて、まず一ページ目。働く場所は、すでに目星をつけています。そこまでのんびりと歩いていきましょう。どうせ、時間はたっぷりあるのですから。

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