第10話

まずはラオに家に来てもらって話を聞くことにした。

家が近いらしい。

「なるほど。セカイとの思い出話として語るのも悪くないな」

ライオンの毛深い顎を撫でふむと言った様子のラオだ。

「セカイはひたすら強いやつだ。初めて会ったとき、化物が人間の皮を被ってるのかと思うオーラを感じ取った」

「え、えぇ……怖すぎ……」

「そう? アタシは感じなかったけど」

「たぶん、セカイはわざと俺にそういうオーラを見せたんだろう。どっちが上かを先に見せたかったんだろうな」

「オーラってそんな簡単に見せたり引っ込めたりできるの?」

「まあ、なんかあるだろ? あ、こいつ俺のこと嫌いだなって感じる的な」

「ああー」

急に親近感ある例え出た。

「それで私って何の技使えたっけ? 炎? 水?」

「ん? はははは! そんな属性、セカイには必要ねぇよ!」

「えー? 属性あった方が強いんじゃないの?」

「セカイの属性は力、パワーだけで充分だ! 属性なんてセカイには枷にしかなんねぇよ!」

セカイはパワーオンリーか……。

私にそのパワー扱えるのか?

「セカイは唯一、神に与えられた腕力の持ち主だからねー」

「え、何その知能指数ゼロの能力? 別にそんな感じしないけど……」

「それはお前がちゃんとセーブしてるからじゃないか? 凄いときはドラゴンの首つかんで投げ飛ばしてたぞ」

「でも腕力以外に何かあるってミナ言ってたよ」

「ああー。何かそれっぽいことは言ってたな。でも、セカイもわからないって言ってたぞ」

「わからない?」

「まだ能力が解放されないとかってな」

「そっかー……」

でも神に与えられた腕力という能力持ちであることはわかった。

セカイ・ヤマダはパワータイプか。

異世界でも暴力が全てを解決するのだろうか。


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