第3話

「セカイ、自分の顔も忘れてしまったとは……」

「あ、顔は覚えていたみたい。うん。馴染みある顔だわ」

 うーむ。確かにミナの真っ赤な髪とファンタジーっぽいブーツと胸当てと腰に下げた剣が異世界を感じる。

 が、病室と洗面台があまりにも現代。

 蛇口は自動式だし、天井の明かりLEDだし。

 でもファンタジーに詳しくないからこんな感じなのかもしれない。

「えっと、ミナ。私のジョブ? ていうんだっけ? て何?」

「ジョブという言葉は覚えているんだな。セカイのジョブは剣士よ」

「剣士……」

 このベッド横の壁に立てかけられてた剣は私のだったか。

 物騒だから視界に入れないようにしていた。

 そうか、私はOLから剣士に転職したのか。

 転生よりも転職のが印象強いな。

 もう異世界転職として生きて行こう。

「ミナ以外にも仲間っているの?」

「もちろん! みんなセカイが目覚めるの待っていたわ!」

 こっちだと私、慕われてるんだな。

 前はネットでしか会話してなかったから生身で仲間を感じるの良いな。

「早くみんなに会いたいなー」

 私はとりあえずその場のノリで言った。

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