第2話

 

 もう違う世界に着いたのだろうか。

 私はベッドの上に横になっていて目の前には真っ白い天井が広がっていた。

「知らない天井だ……」

 一度は言ってみたかったセリフだが、このときは無意識だった。

 寝汗で患者服がベトベトだ。

 身体全身が痛く、見ると腕や腹部に包帯が巻かれていた。

「転生って痛い物だったのか。まあ死んでるしな」

 転生したということは私は別人になっているということか?

 鏡か鏡の代わりになるものを探すため、ベッドから降りたとき、扉から赤いロングヘアの女性が入ってきた。

「セカイ!」

「あ、はい。世界です」

 呼ばれたから答えたけど、誰だこの人。

「あの、あなたは……?」

「……! そうね。あれだけの怪我をしたもの。記憶が多少無くなっていても仕方ないわね」

 えー。どれくらいの怪我なんだろ。怖いな。

「アタシはミナ・ブレイン。ミナって呼ばれてる」

「へー、ミナちゃんかー」

「『ちゃん』とかやめてよ。変な感じする」

「えーと、ミナ……。私はセカイってことは覚えてるけどそれ以外は覚えていないんだ」

「なんてこと。そこまでなのね。あなたはセカイ・ヤマダよ」

「セカイ・ヤマダか……」

 うーん。転生ならもう少し名前変えられんかったのかな。

 ゲームで『あああああああああ』を名前にするくらい雑では?

「鏡ない? 自分の顔もわからないんだ」

「鏡ならベッドの横にあるじゃない」

「あらほんと」

 洗面台もついている。

 早速、顔を洗って鏡を見た。

「これが……私……?」

 それは私だった。

 いや、私なのはそうだが、転生したのに私は別人になることなく私の顔のままだったのだ。

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