第4話 先生の家
亀岡市内からまだちょっと山の方に行った、周囲は畑と田んぼばかりの地区に先生の家はあった。
なんか古そうな大きな農家。門を開けて車を入れて、門を閉めて、車を止めて、庭を五十メートルほど先に離れが見えた。母屋があるから離れだと思うけれど、ちゃんとした一軒家だ。ちゃんと玄関がある。
中に入ってもっと驚いた、寝室兼居間のほかに風呂とトイレと台所、もしかしたらここだけで玲の家より広いかもしれない。
「先生、お金持ちなんだ」
「僕がじゃないよ、この家がだよ」
「先生は長男なの?」
「違うよ、兄貴がいる、今ドイツだけどね」
「え、ドイツ?」
「うん領事館にいる」
「すごーい」
本当は領事館が何かはよく分かっていないけど、確か大使館のようなものだったと思う、どっちにしてもすごい。
「農家は誰が継ぐの?」
「さあ、僕がやろうかなとも思っているけれど、もっと先かな」
「だから、先生私とのことが、ばれても平気なんだ」
「という訳でもないけどね」
先生はちょっとはにかんだ、かわいい。
「すごい本がいっぱい」
壁一面、本が天井までびっちり、物理? の本、SF、ミステリー、頭がくらくらしてくる。
「あ、でも、これ」
「あ、そこは」
先生が慌てて隠そうとしたけど、裸の女の人の写真や漫画、やっぱり可愛い。
「これ見てひとりでしてるの?」
「なんでそんなこと知ってるのかなあ、玲は」
「薫と一緒の部屋だったから、中学に入るまで」
先生は納得した。
「お風呂入れたから、ご飯頼んでくるから、入ってて」
「え、そんなの悪いよ」
「お腹がすいたらいいセックスができないでしょ」
先生はセックスというとちょっと赤くなった、ほんとに可愛い。
お風呂はタイル張りのこじんまりとしたものだけど、ちゃんとシャワーがある。んー、どうやって使うんだろ。ちょっと悩んだけれどカランの絵を見て何とかなった。
「キャ、冷たい」
水が出た、つまみをああ開放にまわした、今度は熱すぎた。難しい。
結局湯船からお湯を組んで体を合った、特にあそこを丹念に、なかに指をちょっと入れた。
ドアを開けたら、ちゃんとタオルが置いてあった、いつの間に。
「ありがとうございました、おさきでした」
あれ、先生がいない。
トイレで水の流れる音がした、あ、トイレかと思ったら出てきた先生が「あっ、」といって後ろ手に何かを隠した。
だけどちゃんと何かわかった。
「せんせ、それ私のパンツ」
トイレからちょっとだけ男の何の匂い。
「え、いや、その」
「なんで抜いちゃったの?」
「ごめん、だってほら暴発したら恥ずかしいじゃないか」
あちゃあ、薫と一緒か、全く男ったら。
「そしたらまたすぐ口でおおきくしてあげるから、早く風呂に入ってきてください」
手を出したら、先生はおずおずと玲のパンツを渡した。理科室で中身見せてあげたのに、まだパンツがいいなんて男ってホントにわからない。
可愛いのを履いてきてよかったと思った。
「直樹空けるよ」
「え、ちょちょっと」
ドアが開いて品のよさそうな女の人が、岡持ちに入った料理とお櫃をもって立っていた。
「あ、ずいぶん若い彼女さん、おいくつ」
「あ、はい、十六です」
さすがにさばを読んだ、本当の年齢など言えるわけはない。
「お名前は、私は直樹の母で貴和といいます」
「倉橋玲といいます。先生にはいつもお世話になっております」
玲は正座すると、両手をついて頭を下げた。玲と薫は子供のころから空手の道場に通っている正座と礼はお手の物だ。
「あら、若いのに礼儀正しい方、そういう人好きですよ、直樹のことよろしくお願いしますね。ほら、あの子ああいう子でしょ彼女ができるか心配してたんです。よかった、あなたみたいな可愛い彼女ができて」
「可愛いだなんて」
風呂の戸が開く音がした。
「あ、先生、お母さんが夕食を」
「え、母さん? 何言ってるの」
「なにって、ほら」
入り口を振り返ると誰もいなかった。料理もなかった。
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