17煌めけるホシ
時は平日の放課後、底無高校の職員室に一本の電話が入る。
「はい底無高校の教員黒野です」
「ええ、ええ、充瞳の親ではない? だな声が違う、なんだおまえ?」
「────あーー、あのおかしなちっぽけな研究所ぉ? の小銭稼ぎの夢がなんちゃら」
『そんな今考えた
「はぁ……そんなにキャキャットかりかり食べてぇ、はいはいうちの生徒が何かやらかしたんでしょうか?」
『なにを言っているかわからないのをやめろ! やらかしたもなにも私の大事なモノを盗んだと疑っている! とにかく今からそちらに行く! もう着いた!』
「……ぬすみ?」
▼
▽
インターホンが鳴りそれが原因で起きた、何度もしつこく圧をかけるように鳴るのは委員長とも違うようだ。
すこし足早に玄関に向かいドアを開けたところ、
眼鏡、メガネ、めがね。
見下げて見上げて黒のパンツスーツ姿の、メガネ。
「……寝起きか充瞳、ご存じおまえの担任だ。まだ寝るには早いぞまったくお前は」
「ほぁぁ……はい? あ、ほんとだメガネ」
「だれがメガネだメガネで担任を認識をするな馬鹿生徒、悪いがふざけている場合じゃないぞ、お前盗みをやらかしたんだってな」
「ん? 盗み!? ナニ言ってんすかメガっ黒野ちゃん先生、あ、またなんかのギャグ」
「おい、」
おい、黒野先生よりも高い種類の声が聞こえた。
開いたドアの夕日色の景色に現れた、白衣の女性。
「なんだなんで白衣……? おれぇ金髪外人のお掃除メイドは雇って」
「バカバカうるさいバカのバカの若者ォ! 盗んだ私の夢玄関のキラメキを返せ! 握手の亜能力者!」
「な、なな……ナニ? アンノーンなんて……? あっ」
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▽
玄関、玄関先ではその高まるボルテージを消化しきれない。
話し合いの場はもたれた。
▽充瞳の部屋▽
ナカで進む話、問題の起点はあの研究所でのあのシーン……握手をするときに充瞳が亜能力を使い夢のキラメキを盗んだという……日本人よりも欧州人風味の所長の話す突飛な話も、
あっさり、盗んだと疑いをかけられ言われた本人は認めた。
「分かったから私の夢の煌めけるホシ鏡を返してくれ!」
「あー煌めけるっホシてギンガのことっすよね……こんな感じの」
タコイカ学習帳にかかれた、ギンガについての項目。
そこに写る煌めけるホシのイメージ絵のページを充瞳は研究所所長の
「そうだ、これだっ! まさにこれ煌めけるホシ鏡! ……まさかお前はこれが目当てで盗んだのか!? なんだこれは夢の研究ノート?」
「いや目当てっていうか……それはもう目当てではあるんだけどぉ……アレだなぁ、うん。そんな大した研究とは違ってぇ。おそらく所長さんとは用途が違うっていうか……」
「用途、ナニ!? とにかく返してくれッアレがないと私は、」
「いやーーーー、それがぁ…………使っちゃったような……ギンガハッピースあははは」
「使っちゃっただと……」
ピースをし笑う鼠色半袖の若者に、食い入るように問い詰めていたモノから愕然と表情が曇る金髪研究者。
「使った……使われる……エネルギーが消費され……無くなる?」
「あはは……みたいな!」
「バカな…………ばかな…………」
▽
▽
生徒と連れてきた研究員の女の呆れるような電波な話途中に抜けてきたメガネの先生。
『仕方ない、ちゃんと生活できているか抜き打ちチェックだ』
ということで、よく電話をかけてくる母親に代わりチェックを開始していた。
冷蔵庫の中身、備蓄食品、掃除はされているか、いかがわしい……、
「ってなんで私がこんなことをやっているぅぅ! あそっか先生か」
「イヤ先生はァ……こんなことしないっ! ……はぁ、まったく親馬鹿とは担任にまで伝染しはた迷惑だなぁ。なぁにが気付かれないようにだっ、一生徒になぁ時間外手当出るんだろうなこれ」
「ん、なんだこの調味料? 胡椒か? ──くそ苦いな……コーヒーか? わけわからん……減点だな」
「それに回鍋肉のもと、チンジャオロースのもと、
「もういいだろ。さすがにこれ以上は金を貰わないとやってられないぞ──馬鹿の馬鹿親に送信っと」
リビングダイニングキッチン、全てをざっと調べ終え写真などを添付し保護者へと送信。黒い携帯を閉じ、問題児のいる部屋へと向かった。
「おーい家主ぃ、先生にお茶を淹れるのを忘れてい」
ところが、いない。
一度メガネを外しレンズを丁寧に拭き、かけ直すも。
いない。
「あ? どこ行った? あの馬鹿生徒と怪しい研究者は? は?」
床に置いてある減点対象だった、黒い四角い盤面に何故か目がいったが、ミステリーは深まるばかり。
黒野先生は先生として額に汗を浮かべながら、神隠しにあったのかかくれんぼでもしているのかふざけているのか、呆れ迷子をさがすように部屋中を探し回った。
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