第52話 感動の再会

「やっぱりすげぇな、あの人」

すっかり武官をまとめ上げた天帝を見て炎迦は呟いた。そのつぶやきを聞いた流迦はクスッと笑い、返した。

「瑤も一役かってますけどね」

「ん?ああ。まぁそうだけど…」

二人がコソコソ話していると再びジャーンとドラがなり武官朝議は閉会した。それと同時に信が瑤迦に突進した。

「瑤迦ちゃーん!生きてたのね!よかったわ!よかったわ!」

力任せにぎゅうぎゅうと瑤迦を抱きしめたから、瑤迦はほとんど窒息しかけていた。それを見て特魔が二人にかけ寄り炎迦が信を引き剥がそうとした。

「くぉら!信!離れろ!」

しかし、びくともしなかった。

「うっさいわね、炎迦!感動の再会を邪魔しないでちょうだい!ごめんねぇ、瑤迦ちゃん、ホントは昨日会いに行きたかったんだけど、天帝を絞るのに忙しくて」

潰されかけながら、薄れ行く意識を瑤迦は必死で保っていた。見かねた迅迦が瑤迦を救出するべく信を諭した。

「信さん……瑤は病み上がりなので」

「あ、そうよね!やだ、アタシったら!」

信はパッと腕を離し、瑤迦はやっと解放された。信は何かを思いだしたように、あ、そうそうとわざとらしく手のひらを合わせてポンと音を立てた。

「近衛のアタシたちに何も言わず天帝を連れ出すなんて良い度胸してんじゃない。しごいてあげるから四人はあとで演習場にいらっしゃい」

天界最強の武人、信のしごき。最悪だ。今日は無事で終われない。瑤迦以外の特魔四人はげっと唸り声を上げた。

「あ、じゃ、私も……」

特訓して、と言いかけた瑤迦に天帝がピシャリと言った。

「ダメだ。お前は目覚めたばかり。今日はもう休め」

瑤迦は唇を尖らせ、納得いかないと言ったふうにふてぶてしく返事をした。

「はぁい」

「その代わり、全快したら容赦せんぞ。前に言ったように龍穴も見に行ってもらうからな」

「分かりましたぁ」


その日の夕食時に会った特魔の四人は迅迦の顔以外見事に傷だらけだった。

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