第47話 仙界からの帰還

「あっ!コラ!待ちなさいよ!」

信が叫んだ時にはもう飛龍の姿は見えなかった。

「行き先ぐらい言っていきなさいよー!」

雲一つない青空に信の声が響き渡った時、ちょうど戻ってきた一匹の龍が声をかけた。

「信殿?……他の皆様もお揃いで」

声のする方へ信が顔を向けると、昇龍が立っていた。

「昇ちゃんじゃない。飛龍ちゃんならつい今しがた飛んでっちゃったわ。行き先は不明」

「西の塔です。瑤迦様の気がそこから強く感じられます」

その言葉に女官長が反応した。

「では、皆様仙界に?」

その言葉に今度は周が反応した。

「西の塔は仙界の入り口ということですか?」

「はい。ですが、入り口を開けるのは仙界の者だけです」

その会話を聞いていた昇龍は全員に言った。

「だとしたら全員一緒にいる可能性が高い。西の塔まで飛びます。皆様私に乗ってください」


天帝の執務室を飛び出した飛龍は西の塔と本宮をつなぐ橋の本宮側で待っていた。龍弥と龍椰もすぐに合流した。そして三人は普段開くことのない扉をじっと見つめ、開くその瞬間を神妙な面持ちで待っていた。

やがて塔の扉がギィと音を立てて開き、天帝が姿を現した。継いで皇后、炎迦、流迦、雷迦が扉をくぐった。そして最後に姿を見せた迅迦が腕に抱えていた人の姿を飛龍たちが見留めると、それぞれに唯一の主の名を呼んだ。信たちを乗せてきていた昇龍も瑤迦の名を呟いた。

天帝たちが全員本宮に渡ってきたところで、四匹の龍は誰にも目もくれず、自らの主人に駆け寄った。そして、飛龍は迅迦に抱えられた瑤迦の着物の合わせに手をおき、胸元をはだけさせた。

「本当に、戻ったのか……」

白い胸元にはしっかりと五芒星が刻まれていた。

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