第40話 異変
慌てて片腕で受け止めた天帝は、ふぅと息を吐き、両腕で抱え直した。
「重くなったな……いつの間にかこんなに」
その言葉に鈴は遠い昔を思い出し、目を細めた。
「私たちがこの子を引き取ったのは生まれて間もなくの頃ですから」
それまで大人しく見ていた特魔たちももう近づいても良いと判断し、恐る恐る近づき瑤迦の顔を見た。
「天帝……瑤戻ったの?」
雷迦の問いに天帝は微笑むことで肯定した。雷迦はいつも以上に輝いた笑顔で喜んだ。いつも動じず、あまり表情を変えることのない迅迦も表情を和らげた。
「泣いてんじゃねーよ!迅迦」
炎迦はバン!と迅迦の背中を叩いた。それはあなたでしょう?と流迦に言われた炎迦の目は真っ赤で涙が溜まっていた。東王父と花音はその様子を微笑ましく見ていた。そして、東王父は花音に指示を出し、あるものを持って来させた。
花音は手に持ってきたそれを天帝に差し出した。
「それは?」
「増血剤です。東王父様が必要になるからと、作っておりました」
「そうか、すまないな。しかし、この状態では……」
そう言って気づいた。
瑤迦の身体が異常なほどに冷たいことに―。
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